ぶらさがる腕
2018/12/22
昔子供の頃、俺と兄貴は
同部屋の2段ベッドの上下で寝ていた。
ある夜、ふと目が覚めると、
ベッドの柵の外に腕がだらんとぶら下がっている。
たぶん兄貴が寝返りうつうちに、
外にはみ出しちまったんだろうと・・・
そう思ってもう一度寝なおそうとしたんだが・・・
よく考えたら、
今日は俺上段の方で寝てるんじゃん。
(毎日どちらが上で寝るか、壮絶なじゃんけん勝負が行われる)
んじゃ、この腕は・・・?
そこまで考えて、
とてもじゃないがそのまま寝てることもできんので
腕がぶら下がってる頭側じゃなく、足側から飛び降りて
下の兄貴に場所交代してくれるように頼んだ。
ぶつぶついいながらはしごを上る兄貴には
見えてないようだったが、
天井から生えた手はその間中兄貴の体中を這い回ってた。
それ以降その腕を見ることはなかったが、
俺はもう上段で寝ることは出来なかった。
そして、その原因も誰にも話さなかった。
兄貴は、次の年に事故で死んだ。
たぶん偶然だろうが、
もしも、もしもあのときのあれが原因なら・・・
俺は、兄貴になんて謝ればいいんだろう。