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祖父

2019/05/14

長いけど祖父の事書きます。
私は昔から祖父が大好きだった。
恰幅が良く無口な人だか、情に厚く優しい人だった。
その祖父が、脳梗塞で倒れ、3年間の闘病の末亡くなった。
亡くなる間際の祖父は痩せこけていて、言葉も話せない状態だった。
ただ…お見舞いに来た私を見ては嬉し涙を流し、
帰る時は覚束ない言葉で「ありがとう」と言って涙を流してくれた。
そして祖父が亡くなる一週間前。
ちょうど私はアパートを引っ越して、運悪く携帯も停まっていた。
慌ただしかった為、親にも新住所を伝えておらず、
私は祖父の死に目にも会えず葬儀にも出れなかった。
祖父の死を知った時は号泣し、心の中で何度も祖父に謝った。
すごく自分を悔いていた。
祖父を思い出しては泣く日々だった。
それから一年後位だった。
その日は、祖父の写真を見ながら泣き疲れて寝てしまった。
寝ていると、ドアを誰かがノックした。
「どちら様?」
と聞いても返事はない。
用心深い私なのに、その時に限って確認せずにドアを開けた。
そこには若い男性と祖母がいた。
その若い男性は、真っ白な帽子に真っ白なスーツを着ていた。
スーツは今風の物ではなく、昭和初期のようなレトロな物だった。
年齢は20代くらい。
「おじいちゃん!」
私は何故か、その男性が祖父だと気づいた。
若い頃の祖父の顔なんて、写真でも見た事ないのに。
本当。不思議だけど…。
私は号泣しながらその男性に、
「おじいちゃん、ごめんなさい!お葬式行けなくてごめんなさい」
と何度も謝った。
すると男性は、
「もう気にしてない。大丈夫だ。泣くな。おじいちゃんは、そろそろ逝くから、元気でな」
と言って、私の頭をポンポンとして、すーっと歩いて消えていった。
ドアがバタンと閉まる音と共に、私は目が覚めた。
夢か…と思ったが、ドアの閉まる音が余りにもリアルで、
いつもドア鍵を閉めているのに、その時だけ鍵が開いていた。
ちなみにその時一緒にいた祖母は、今も健在だからか、
姿は現在の姿で、私に目も合わさず、言葉も発していなかった。
後日、祖母にその事を話し、祖父の若い頃の写真を見せてもらった。
30代の頃の写真だったが、あの若い男性と一緒の顔だった。
祖母は、
「死んだ人の魂は、一番幸せだった頃の姿に戻るって聞いた事あるからね。
あんたが泣いてばかりだから来たんだよ」
と言っていた。
夢オチかよって言われるかもだけど、今でも鮮明に覚えている出来事です。

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