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山奥でのキャンプ

2019/06/03

大学2年の夏休み、男7人でキャンプへ行こうという話がでた。田舎に住んでたAが
「とっておきの穴場があるんだよ」
と言うので、車2台でAの言う山奥の渓流へと行くことになった。

高速を3時間ほど突っ走ったあと1時間ほど車を走らせ、山を30分ほど上ったところで、本道からそれるわき道へと入っていった。そこは車一台がやっと通り抜けられるような狭い道で、草がぼうぼうと生えていた。
「すげえとこだな」
「ほんと、誰もしらねーんじゃねー」
とか言いながら30分ほど車を進めると、ようやく川が見えてきた。周囲は山で囲まれ、とても静かなところだった。滝(せき?)もあって川幅は20mぐらい(対岸の山までは50mぐらいか)で、ほんといいところだとその時は思ったさ。ただ一つ気になったのは、山の中腹にある学校らしき建物だった。

昼飯を食べ、水浴びなどしながら楽しんでいると、あっという間に日がおちた。夜10時をまわったぐらいか。酒とつまみがきれ、A含む3人が買出しにでかけてしまい、残り4人でまったりと時間を潰していた。街灯などまったくない。星が綺麗で、川の音しか聞こえない。

そんななかBがふとつぶやいた。
「あれなんだ・・・」
対岸の学校。そこに懐中電灯の明かりが見えた。
「だれか肝試しか?」
「でも明かりが一つしかないぞ?」
その明かりはこちらを一瞬照らした後、学校までの一本道をず~っと移動していき、そして消えてしまった。

あれは管理人か誰かだろうということにした。何かおかしいことは皆わかっていた。そこは廃校だとAが言っていたからだ。いつもだったらはしゃぐ所だが、その時は何故か皆黙っていた。

12時を過ぎたころだと思う。あまりにも3人の帰りが遅いので、2人が様子を見に行くことになった。車の明かりは消え、残りは自分とBだけとなってしまった。
「ごめん。俺、先に寝ていいか?」
Bは疲れていたのか、となりのテントへ行き、さっさと寝てしまった。

自分は一人、火を眺めながら待っていた。そして、それに気がついた。車が消えていった方。そちらの方に明かりが見えた。車のヘッドライトとは違う。100m以上先だが、草ぼうぼうの道を一つの懐中電灯が近づいてきてることが確認できた。何か嫌な感じがし、自分は火を消してテントに入り、寝袋をかぶって、その明かりをじっと見ていた。

明かりは真っ直ぐ、ゆっくりとこちらに近づいてきた。さっき見た管理人か?何故こんな夜中にこんな山の中を見回ってる?明かりが20mくらいの距離に近づいた時、光がテントを照らした。見つかった。そう思った。自分は寝袋にくるまり、大量の荷物に隠れ、狸寝入りをすることにした。

足音が近づき、テントの前で止まった。ジ~っとジッパーを開ける音がし、こんな言葉が聞こえた。
「ここにもいない・・・」
その瞬間、鳥肌がたったよ。管理人なんかじゃなかった。老婆だった。そして、そのおばあさんはBのいるテントへ行き、なんか喋っていた。

「・・・お・・・て・・・」
「・・・こ・・・ど・・・し・・・?」

自分はもう一睡もできなかった。辺りが明るくなったあと、テントの外に出たけどもう誰もいなかった。車2台が帰ってきたのは、それから少したったあとだった。タイヤがパンクしたのと道に迷ったのとが重なって、遅くなったらしい。夜あったことを話したが、誰も信用してくれなかったよ。あまり気が進まなかったけど、予定通りもう一泊したが何も起きなかった。

帰りの車の中で、Bに「最初の夜、ずっと眠っててよかったなー」って言ったら、Bは「いや、おれ起きてたよ」と言う。Bは気をつかって黙っていたとのことだった。Bが言うには、あの時おばあさんはテントの中に入ってきて、Bの体を揺すってきたらしい。何か様子がおかしいと感じ、そっと薄目を開けたら目の前に見知らぬ老婆がいたので、怖くなってずっと寝たふりをしていたとのこと。そして、ぼそぼそとなにか言ってたが、ただ一つ聞き取れたのはこんな言葉だったそうだ。

「私の子供たちどこへ行ったか知らない・・・?」

あれからもう何年もたった。あのおばあさんどうしてるかなと、夏になると思い出してしまう。きっとかわいそうな人だったに違いない。熱かった青春時代。暑かった夏の夜の思い出。

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