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異様な顔つきのキツネの白い陶器の人形

2018/07/16

中学3年生だった。
受験が迫っていて、しかも希望校がボーダーラインですがれるものがあれば何にでもすがりたい状況にいた。
学校帰り伊勢の勢田川河口の泥の中に、白いものが顔を出していた。
堤防を駆け下りそれを見た。
異様な顔つきのキツネの白い陶器の人形だった。
目がつり上がっていて、口が邪悪そうに笑っている。
なぜかそれをひろってきてしまった。
タオルで泥を落とし机の奥にしまった。
受験には合格した。キツネの御利益だと感じたが。なんだかそれが重荷に感じてエロ本と一緒に捨てた、、、河口に
教師になって和歌山近くの学校に赴任した。
子どもたちと焼き芋を作りに里山広場に出かけた。
落ち葉の下に落ちていたというそれはまたしても陶器のキツネだった。
「庚申さんの人形もね」
などといったような気がする。
さわれなかった。心はふるえていた。
子どもはあの陶製の人形をどうしたのか。
鈴鹿市に帰ってきて結婚した。
5月3日に引っ越した7万5千円の借家。
草ぼうぼう。
5月30日にこのパソコンで仕事していた。
窓の外ではみがきの音が聞こえる。
レースと網戸の向こうは見えないが向こうからはこちらが見えるはず。
嫁さんと思ったので声をかけるが答えない。
外にでて確認するとまたあいつが草にまみれ泥に汚れてそこにいた。
嫁さんは気味悪いといいながらビンのゴミボックスに入れた。
あいつをどうしたものか。
子どもは今8ヶ月うばう気ではないのか心配だ

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