しがみつく
2019/02/07
小学生の頃、
自転車で夕方ピアノを習いに行ってた。
幹線道路沿いの歩道で、
そこそこ人通りはあるんだけど、
その日は何故かほぼ自分だけだった。
ちょうど夕焼けが夕闇にかわる時間帯で、
淋しい感じがして、車道を走る車の方を見ながら
自転車こいでいた。
進行方向が同じなので、
自分を車がどんどん追い抜いていく。
と。
なんとなく眺めてた目が、釘付けになった。
高級車っぽいきれいな車のナンバーのところに、
人が、しがみついていた。
顔が変な方向に曲がり
こっちを向いてて一瞬目が合った。
男か女かわからない。
絡み合った長髪。
白いボロ布みたいな服。
がっしりした手足でバンパーにしがみついている。
自分を見て口が開いた気がした。
え!?て思ってる間に、
車は遠くに走り去り見えなくなった。
見えなくなってから初めて、
背筋がぞっとした。
なんだったのかはわかりませんが、
しばらく茫然とした後
めちゃくちゃ怖くなって同じ方向に行く気がせず、
必死で自転車こいで別の道から大回りしました。
あれはなんだったのでしょうか。
怖いというか、
不吉な感じがするまがまがしい顔でした。
そいつの顔はいまだに夢に見ます。