ひとり、いない
2024/09/28
夏休みに小学生5人で近所の廃屋に探検に出かけた。
2階建てのモルタル瓦屋根の物件は何年も空き家で、今みたいに立ち入り禁止の鉄柵もなかった。
子供たちは一通り探索を終えると、夕方には家の外に集まった。
・・・4人しかいない。
子供たちは怖くなり、近所の大人に助けを求めた。
警官を含む大人7名で屋敷の中を捜索したが、子供は見つからなかった。
しかも、0時近くになって出てきた大人は6名だった。
翌日、大がかりな捜索隊が発見したのは、2階へ上る階段途中に朽ちた穴があることだった。
ほとんどの人はそれを避けて登っていたのだが、気づかなかった人は落ちてしまったのだろう。
問題は、落ちた先が1階ではなく、また、地下室でもなく、まるで井戸の底のように深く暗い奈落の底であったことである。