兄が迎えに来た
2019/05/16
当時習っていたピアノからの帰りに、
一度だけ兄が迎えに来たことがありました。
レッスンが終わるのは夜の7時ですから、
それほど遅くはないですし、
その時は夏でしたからまだ明るかったです。
道のりも子供の足で10分程度は歩くのですが、
小2から通っているので慣れた道です。
いつも通り先生の家を出て歩き始めたら、
向こうから兄が自転車で来るのが見え、
そのまま兄の自転車の後ろに乗って帰りました。
荷台に座るためのクッションを持って来てくれたので、
私を迎えに来てくれたのは間違いないと思います。
兄は
「ちょっと回り道するぞ」
と言って、帰り道は随分と遠回りをしました。
途中、遠くで救急車のサイレンが聞こえました。
いつもの帰り道でトラックが民家に突っ込んだのは翌日知りましたが、
不思議なのはそのことではありません。
帰宅後、兄より先に家に入った私は母に
「お兄ちゃんが迎えに来てくれた」
と言うと、母は変な顔をしました。
母と兄の部屋に行くと、
いつの間にか兄はもう部屋に居ました。
母は兄に、いつの間に出て行ったか聞いていましたが、
兄は笑いながら、母が気づかなかっただけ、みたいな答えでした。
でも、兄の服が違うのです、
迎えに来た兄とは全然。
母に聞いたら、
兄はずっとその服装だったとのこと。
さっきまで私が自転車でつかまってた兄は別の人?