憩いの森
2019/04/16
おれの地元は埼玉寄りの東京都内なんだが、
近所に『憩いの森』という、
ガキの遊び場になっている場所があった。
そこは、殺人事件があっただの、
日本軍の幽霊が出るだの、
管理人のババアに殺されるだの、
気味の悪い噂ばかり聞く場所だった。
小学生のある夏の夜、
友人3人とそこへ肝試しへ行った。
夜の『憩いの森』は想像以上に暗く、
肩掛けカバンに入れた懐中電灯すらどこにあるのか、
あっという間にわからなくなってしまった。
外のわずかな光を頼りに、
何とか暗闇を脱出できて、
ほっとしたのもつかの間。
帰り道に4人で話した内容が、
なんだか奇妙で不可解で俺をぞぞっとさせた。
4人とも暗闇の中で、
ある一つの映像が浮かんでいたようだ。
・『憩いの森』付近を流れる用水路沿いの道路
・飛び散ったバイクの破片
・うずくまる一人の男の子
それは、2年前に盗難車で事故って亡くなった、
K藤君という地元で有名な不良の先輩だった。
先輩といっても同じ小学校ってだけで、
4人ともとくに親しかったわけではない。
なんで『憩いの森』で俺らにそんな映像が浮かんだのか、
結局今でもわけわからん。
とりあえず、
一週間後くらいに4人で事故現場には行って、
手を合わせた。
そのあとは、特に何も起こってない。
4人の間でも、特に話題にはならんかった。
ちなみに『憩いの森』はまだ健在です。
心なしか、前よりちょっと樹木が増えてる気がする。