老舗のスナック
2019/05/14
老舗のスナックでホステスとして働いてたことがあるんだけど、
裏口を出た辺りでスーッと横切る男性がいるのをたまに見かけた。
店はビルの3F角で、男性の進行方向は行き止まり。
そのまま進んだら柵越えて落下してしまう。
霊だなとすぐ分かったんだけど、不思議と恐怖感が無かった。
何回か見た後、ママにそのこと尋ねてみたら、
「それ、○○さん。常連さんだったけど、
ここのすぐ近くで交通事故で亡くなった人でね。
携帯が鳴るとよく裏口に出て話してたから、たぶんそうだよ」
とのこと。
他にも、入り口ドアが開いてないのに
「チリンチリン♪」
とベルの音がしたり、
(私とママ、霊感強めなお客さん数名にしか聞こえなかった)
お客様の間に入り込んでる影みたいなのが見えたりした。
どんな現象が見えたり聞こえたりしても、なぜか全く怖くなくて、
まるでお盆にご先祖様を迎えてるような気分だった。
ママが、
「私も年だし、もうこの店閉めようかとも考えたんだけど、
懐かしい人が来てくれるからやめられない」
って言ってた。
その『懐かしい人』は、死別したママの旦那さん。
実際会ったことも無いけど、
ママの視線や表情でこの人だって分かった。
来た時は、カウンターの隅に水割り作っておいてた。