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見知らぬ顔

2019/01/24

中学のスキー教室の時に体験した話
宿泊先は中部のとある県にある、まあよくある「少年自然の家」みたいな感じのところだった。
4人1部屋で割り振られてたんだが、4人分としては広すぎるほどの部屋だったので、厨房らしくギャーギャーうるさくしながら暴れまわってる奴らが多かった。
俺達の部屋は206号室だったんだが、隣の205号室は「クラスに一人はいるような変人」が4人かたまってる部屋で、妙にテンションの上がったそいつらの騒々しさは俺と同じ部屋にいた学級委員の奴を何度かマジギレさせるほどだった。
夜。相変わらず隣の部屋の連中がうるさい。とっくに消灯時間は過ぎていて、全員寝る態勢には入っているようだが、寝ながらなにやら喋っているようだった。
そのとき、寝ようとしているらしい変人の中の一人が突然「ビークワイエットプリーヅ!!」と意味不明な英語を発し、俺達4人は一斉に吹き出してしまった。
しかしさすがにウザくなったのか、学級委員の奴が立ち上がり、隣の部屋との仕切りになっているふすまを開け、たぶんやり返すつもりだったのだろう。
小声で「ビークワイエットプリーヅ」と言いかけた。
その時だった。
「ビークワイエットプリ・・・」
そこまで言いかけて学級委員は急に黙ってしまった。
「ん?どしたん?」と他の奴が声をかけるが返事が無い。
と、突然「うぅぅわあぁぁあぁぁぁぁぁぁ」という物凄い叫びをあげて、学級委員が文字通り後ろに跳ね返った。
かなりビビった俺達は「うっせーよ!なんだよいきなり!」と言うと、学級委員はブルブルしながら目の前のふすまを指差した。
俺はその時たまたまふすまに一番近いところにいたので、あろうことか自分でふすまの隙間を覗き込んでしまった。
隣の部屋はオレンジ色の薄暗い電灯だけはつけておいたらしく、部屋の中が多少見通せた。そしてその部屋にしいたそれぞれの布団の上に、4人が座っているのが見えた。
今思えば、布団に4人座っているというだけで何か妙な気もするが、当時の俺は「何?別に何もねーじゃん」と言って目を離そうとした。
しかしその時、4人が一斉にこっちを振り向き、俺は凍りついてしまった。振り向いた4人の顔は、全員知らない顔だったのだ。
普通の公立中学校だったので1学年100人前後。顔すら知らない人がいるはずなどないのに。
「うおっ!!」と言って俺が仰け反ると、他の2人が「なになに?」と言いながらふすまを覗こうと近寄ってきた。
すると、近寄ってきた2人が「ぎゃっ!」と叫んで飛びのいた。オレンジの光が漏れてくるふすまの隙間から、縦一直線に並んだ8つの目が、こちらをのぞきこんでいた。
次の瞬間、隣の部屋の電灯がバチュン、という音を立てて破裂し、周囲が完全な暗闇となった。
どうやら俺達4人はそのまま気絶したらしく、翌日は一日中ガタブルしながら過ごすこととなったのだった。

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