血走った片目
2019/01/11
中学3年の時、
俺は1ヵ月間ずーと金縛りにあってたんだ。
何とか金縛りを振り解いて、
ふっと時計を見ると午前2時40分ってのが毎日のお約束だった。
だいたい午前2時半ぐらいに金縛りに遭うってことだな。
ちょっとノイローゼ気味になってた俺は、
ある時その時間に寝なければいいんだ!って思いついた。
学校を休んで昼過ぎまで熟睡。
朝まで起きてようって考えだ。
その夜...
昼間にたっぷり睡眠をとった俺は
ゲームなどでヒマを潰していたんだ。
ところが午前2時半をまわったところで
我慢できない程の睡魔に襲われた。
そして俺は電気を付けっ放しのまま、
テーブルに突っ伏した体勢でウトウトしてしまった...
説明し忘れたけど、俺の部屋2階ね。
寝てんだか起きてんだかわからない状態になった俺は、
自分の部屋がいつも金縛りになる前のように
空気がピーンと張り詰めた状態になっているのを感じ取っていた。
「畜生、またかよ...」
そう思いながらテーブルに突っ伏したままでいると、
いつもの金縛りのパターンが始まった。
玄関の扉(引き戸)がガラッと開く。
家の中に入るのにもう1つ引き戸があるのだが、
やや間隔をおいてその扉もガラッと開く!
1階部分で何か(誰か?)を探しているように歩き回っている気配。
もちろん足音も聞こえる...。
その足音はやがて2階の俺の部屋の方に向かってくる。
トン...トン...と1歩ずつ階段を上がって来る音がする。
やがて足音が止まる。
その場所は俺の部屋と障子1枚隔てたところ、
2階の廊下部分だ。
いつもならここで
「エイ!」
って気合を入れて金縛りを解くんだけど
この時は変な体勢になってたんで踏ん張りが利かない。
ついに最後の扉がスーと開いた...。
部屋の中をうろうろと歩き回る気配。
時々確認するように俺の近くで立ち止ったりする。
俺は
『見ないように!見ちゃいけない!』
って思いながら目をつぶって恐怖に耐えていた。
すると突然障子がスーと閉まった音がして金縛りが解けた。
恐る恐るあたりを見渡すと誰もいない。
嘘みたいな話だが障子はちゃんと閉まっていた。
...閉まっていたのだが!
ある一点の場所に俺の視線は吸いつけられた!
俺の目の高さとほぼ同じところにある障子紙が破れた場所!
そこから血走った目が俺を睨んでいる!
男か女かわからないが血走った片目が俺を凝視しているのだ!
あまりの恐怖におれは
「うぎゃぁぁぁー!」
と大声を上げた。
よほどデカい声だったのだろう。
母親が2階まで上ってきたぐらいだ。
と同時くらいにいつの間にかその目は消えていた。
俺は半分寝ぼけた母親に今までの話をしたが取り合ってもらえず、
ただウルサイと怒られただけだった。
その後、俺は自分の部屋に居るコトはできずに、
1階の居間で猫を抱きしめてTVを見ながら夜明けを待った...。