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ベランダの異音

2020/12/16

流れぶった切るし長いし、それほど怖くはなかったらごめん。姉ちゃんと俺にはそれぞれ誰にも話したことがない秘密があって、それをお互いに知ることとなった話。

小学生の時に親が離婚して母親に引き取られた当時中3で4つ上の姉ちゃんと、ベタベタだった従順な弟俺。何度目かの引っ越しの後、山に沿って作られた団地の一番上の借家を借りて、しばらくはそこに住むことになった。

その借家は2階建てで2階には2部屋ありその部屋をつなぐようにベランダがあった。離婚してから不安で仕方なかったであろう母親は、洗濯物を干しに行くたびに俺らの顔が見えるようにとその2部屋が子供用になった。

姉ちゃんの言いなりだった当時の俺は、姉ちゃんに部屋を決めてもらい段ボールを空け始めた(4度目の引っ越しで慣れたものだった)。その借家は裏に大きな公園(遊具は2つくらいで土地だけが広い)があって夕方になると誰もいなくなって、夜になると真っ暗な闇そのものだった。

夜になり、あらかた片づけたときにカーテンも付いてないベランダからドンッて音が聞こえて、見てみると姉ちゃんがニヤニヤしながらこっちを見てるのがわかった。片づけが終わりベランダを渡って冷やかしに来たらしい。姉ちゃん大好きの俺はその状況に楽しくなり、2人でちょっと遊んでから母親の言いつけで姉ちゃんは勉強、俺は寝ることになった。

といっても引っ越したばかりの新しい環境ではなかなか寝付けず布団の中でもぞもぞしてると、ベランダからドンッて音が聞こえた。もう俺の頭には姉ちゃんの顔しか浮かばなかったから飛び起きてベランダの方を見たけど姉ちゃんどころか誰もいなかった。

???な俺はまた寝ることにしたんだけど2分後くらいにまたドンッ。これを5回くらい繰り返すころには姉ちゃんにいたずらされてると思ってほぼ泣きかけの俺。鳴る間隔も分かってきてそろそろだと思いベランダのドアの前でスタンバってると、公園の真っ暗闇を映すドアが目の前でドンッと鳴って!?!?!?

その直後姉ちゃんがお気に入りのクマの人形を抱えて部屋のドアから「大丈夫?」って入ってきてさらに!?!?!?

しまいには俺が泣きじゃくってしまい引っ越し早々騒ぎを起こしたくない母親登場で部屋は意味の解らない状況になってた。結局、俺が泣いたのは度重なる引っ越しのストレスということで話が収まり、その日は3人で1階に寝ることになった。朝起きると39度の高熱が出ていた。

俺の秘密というのは物心ついたときから、熱が出たときに普段は聞こえない声とか音とかが聞こえるようになるってことだからここで初めて、そういうことなんだって思った。

ここからは3人で話した時の姉ちゃんの話。あの日の夜、勉強していると真っ暗闇の公園の奥からキラキラ光る子供が年相応の速さで宙を駆けて俺の部屋に吸い込まれていってたんだと。その度に俺の部屋からごそごそ聞こえるもんだから怖いけど頑張って俺の部屋に来てくれたらしい。キラキラしてるから悪い子じゃないよって言ってた。

姉ちゃんは物心ついたときから見えててそれなりに怖い思いもしてたみたい。俺の話をすると母親が思い出したように、小学校に上がる前は熱出した時に信じれないくらい低い声で叫んでたって言ってた。先週姉ちゃんと呑んだ時に、高校上がって処女捨てたら見えなくなったって話をしたから思い出して投下。

口が滑ってまだ聞こえるって言ってしまってから、ニヤニヤしながら知り合いの女の子を紹介してくる。余計なお世話じゃ!!

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