路地裏の占い師
2019/01/02
路地裏に占い師がいたんだ。
最近ついてないから占って貰おうと思い、近づく。
良く見ると、
自分でも何故占い師だと思ったのか分らないほど
普通の人だった。
「占ってくれませんか?
ぼくは何をしたらいいんでしょう?」
すると、やや間があって・・・
「例えば、一秒先のことを予測するのに、
一秒かかっては意味がない。
だから、私はあなたをすぐに変えてしまうことにする。
ところで、川が流れるのは
上下の勾配があるからなのだけれど、
時間は何故ながれていると思う?」
こうのたまった。
まったく意味がわからず、
いぶかしげに占い師の顔を見ていると、
「既知と未知がその勾配なのさ。
未来を知った人間はどうなるのかねぇ」
あの後、どうやって家まで帰ってきたのか
覚えていないのだけど、
その後何をするにも成功ばかり。
幸せかって?
最近、気持が悪いのが治らなくって、
病院にいくことにするんだ。
そしたら
離人症なるものになっていたらしい。
全く意味がわからなくなるということだ。
もう、息子も妻も愛せないんだ、
どこか冷めていたんだ。