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ゆめゆめそらゆめ

2018/12/31

年長さんくらいの頃、
婆ちゃん家に泊まった時に、
怖い夢を見て夜中に起きた。
暗い客間に一人なのが怖くて、
婆ちゃんのとこに行こうとしたけど、
真っ暗の廊下も怖くて
わざとバッタバタ足音たてながら廊下を走り出したら、居間が明るかった。
襖を開けて走り込んだら、
婆ちゃんがヤカンとか置けるでかいストーブを拭きながら
「どないした?」
ってきょとんとしてた。
なんかそれが凄く安心できて、べそかきながら
「怖い夢みてな、その夢でな」
と話し出そうとしたら、
「夢の話はそのまましたらあかん、外に出てきよる、怖い夢なら尚更や」
という内容をくどくど説教されたあと、
「口に出す前にゆめゆめそらゆめ言うとき」
と言われた。
で、「ゆめゆめそらゆめ」と唱えてさあ夢の話をと思ったら、
内容がさっぱり思い出せない。
嘘ついたって怒られたくなくて、
またべそかきながら本当に見たんだとぐずってると、
婆ちゃんが抱き締めて背中をとんとん宥めてくれた。
生意気にそんなガキじゃねえし、とか思ったのを覚えてる。
でも婆ちゃんの手は魔法の手だから寝てしまった。
起きたら客間に一人で、ちゃんと布団で寝てた。
朝御飯中に婆ちゃんから
「寝入り端にバタバタ走ってからに」
と叱られた。
怖い夢見たから婆ちゃんとこ行こうと思ってって言ったら、
「深う息して頭から布団被るやろ、ほんで10数えたら寝て忘れるわ」
とカラカラ笑って切り捨てられた。
夜に抱き締めてくれたあの婆ちゃんは?と疑問に思う反面、
これが正しく家の婆ちゃんの対応だわ、となんか納得してしまった。

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