本文の文字サイズ

さゆりちゃん

2018/11/12

4,5歳の頃、家のすぐ近所で知らないおばあさんに、
「さゆりちゃん!大きくなったねぇ」
と話しかけられた。
私の名前はさゆりじゃないので
「ちがうよ」
と言い返し、おばあちゃんから離れた。
そして中学校に上がるまで、
忘れた頃に知らないおばあちゃんに
「さゆりちゃん」
と話しかけられることが続いた。
社会人になり、地元(東北の田舎)から離れ、
東京での生活に慣れ始めた頃、
住んでるアパートのそばで、知らないおばあちゃんに
「さゆりちゃん!大きくなったねぇ!」
と手を取り握られた。
幼い頃からの記憶が残ってたためゾッとして、
「すみません、人違いですよ」
と言ったが、
「さゆりちゃんでしょう。だってあなた、さゆりちゃんよ?」
と優しい笑顔で言われた。
「人違いです!」
と言ってその場を離れた。
優しそうなおばあちゃんだったため、
逃げるように去ったことに罪悪感はあったが、
ひどく嫌な気持ちだった。
その2年後、東京を離れ地元に戻った。
実家で暮らし、仕事から帰ってきて寛いでいたら、
知らない市外局番の電話番号から携帯電話に着信があった。
間違い電話だろうと思い、何の気なしに出たら、
『さゆりちゃん!おばあちゃんよ~。
今度、遊びにいらっしゃいよ。さゆりちゃんね、その時、お母さんに…』
私は心底ゾッとして、
「間違い電話ですよ!!」
と言って電話を切った。
それ以来もうここ数年、
さゆりちゃんと間違われることはないけど、
私は今も誰かのさゆりちゃんなんだろうか。
それとも、話しかけてきたのは全部違うおばあちゃんだったので、
みんな亡くなったりしてしまったんだろうか。
私の、ほんのり怖くて、心底ゾッとする経験です。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

人気作品

人気カテゴリ

RSS