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奇妙な女

2018/10/28

幽霊も怖いけど、
やっぱ人間も怖いよ…って話。
高校時代バスケ部で、
部活はいつも体育館でやってたんだけど、
火曜日はバレー部が全面使うため、体育館が使えなかった。
それでバスケ部は、火曜日は体力作りのために、
近所の公園までランニング→公園で筋トレ→学校までランニング
っていうメニューでやってた。
で、ある日を境に、
俺らが公園に着くといつも変な女がいるようになった。
なんか髪はボサボサで服も薄汚い感じ、
焦点あってないような目で、
ベンチに座ってブツブツ独り言いってる、
とにかく奇妙な女。
まぁ、最近変な奴多いしなぁ…
とか思いながら黙々と筋トレやってたんだけど、
たまにジーッと俺らのほう見てるときがあって、
その瞬間は正直怖かった。
俺はできるだけ気にしないようにしてたんだけど、
やっぱ高校生が20人くらい集まれば、
ひとりは調子こくやつがいるもんで、
まぁ、すげー暑い日でイライラしてたのかもしれないけど、
Aが突然その女にキレた。
「あんたさぁ!
いっつもジロジロ見てくるけど、
何か用でもあんのかよ!!」
てな感じで。
確かにいっつも見られてると気になるし、
集中力も奪われるわけで、
Aの気持ちも分からないではなかったけど、
あんな変な女には関わらない方がいいのに…
と俺は内心思った。
んで、Aに怒鳴られた女は、
言い返すわけでもなく、
ただ苦虫を噛み潰したような顔でうつむいてた。
Aも怒鳴ったことで気が済んだのか
それ以上は何も言わず、
俺らはそのまま学校へ戻った。
次の週の火曜は、
その公園にいつもの女がいなかった。
さすがにAにキレられたのが効いたかな?ってことで、
その日はみんな安心して、筋トレに励んだ。
で、そろそろ学校戻るかって時に、
ふと水道のほうを見たら、
Aが顔を洗ってたんだけど、
どこから現れたのか、あの女が横に立ってた。
俺は心底ゾッとした。
いきなり現れたことも怖かったけど、
Aの横にあの女が立ってるってことは……。
と、次の瞬間、その女が手に持ってたタオルを、
Aが水道の上に置いてたタオルとすり替えるのが見えた。
Aは気付かず、うつむいたまま、
タオルに手を伸ばした。
ヤバイと思った。
俺を含め、それを見ていた部員みんなが、一斉に叫んだ。
「A!!やめろ!触るな!やめろー!!」
Aが驚いてこっちを振り返った。
と同時に、その女はすごい勢いで公園から逃げていった。
俺らは慌ててAの所へ行って、
すり替えられたタオルに目をやった。
タオルの内側には、
マチ針がびっしり刺さってた。
後日聞いた噂だと、
その女は精神科を退院したばかりで自宅療養中だったらしい。
で、学校側が報告して、病院に戻されたらしいけど、
いつまた出てくるのかと思うと毎日怖かった。
結局卒業までその女を見かけることはなかったけど。
Aは今も元気にやってんのかな…。

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