ネット上に存在する不思議で怖い話を
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あの話を聞いた後

2018/08/13

件の合宿で泊まった宿というのがまた素敵な立地でして、箱根という場所柄だけでも十分アレなのに周囲には怪しげなスポットが盛り沢山。
車の通らない県道に始まり、池と呼ぶには広くて深い池、池のほとりのあばら屋では地獄展とやらをやっており、その側には謎の巨大仏像を安置するためのこれまた巨大な観音開きの箱(見た時は早朝だったので開いてませんでしたが)
横には無縁仏と思われる地蔵が5、6体立ち並び、さらに逆側には平たい石を積んだやはり謎のオブジェが賽の河原よろしく置いてあるという徹底ぶり。
さらに葉の茂った中庭の死角には苔まみれの急な階段があり、無理矢理上ると宿の裏手に伊達正宗縁の社とやらがありました。
整えられてはいましたが、もちろん人気はありません。
宿の壁は薄く、少し声を張り上げれば続き部屋同士で会話が出来るほど。
サンダルを履けば中庭を通じて簡単に移動できるので、セキュリティ面ではかなり危ない作りだと思います。
おまけに皇太子様と学●院のご学友が何度かいらしたことが自慢らしく、ロビー横の小部屋にスナップ写真がべたべた貼ってありました。
意味もなく沸き上がる不安感…(ニガ
うちは文化部にしては大所帯で、その時の参加者は顧問も含めて15人。
廊下沿いに4つ並んだ部屋の一番奥の部屋に2人の顧問、その手前に男子生徒3人。
その前が私達で、一番手前の大部屋に残りの女子6人が割り当てられました。
同室のメンバーはH先輩、同級生のN、M、そして私の4人。
何となく気が合う同士で集まったのですが期せずして4人のうち2人は霊体験を頻繁にするタイプでして、特に先述のH先輩ともう1人、友人のNは「シスター」の異名を取る程見た目も言動も霊験あらたかなキャラクターです。
Mと私は一応ノンケということで
「濃いメンバーだね」
などと言って笑っていたのですが、まさか自分があんな目に遭うとは…。
あってない様な消灯の後部屋に戻った私達は、翌日に予定していた怪談大会でネタが被らない様各自の手の内を明かしつつ予行練習をすることにしました。
時間は23時過ぎ。
まだ隣の女子の笑う声も大きく電気のスイッチをパチパチ鳴らして遊ぶ様な音も聞こえていましたが、それもことの他早く止み、日付が変わる頃には静かになっていました。
その時先輩が話してくれたのが前回の話なのですが、それが終わる少し前くらいから私の体に異変が起き始めました。
最初は胃がキリキリと痛むくらいだったんですが、そのうち心臓と腸にまで痛みが伝染して来ました。
何かを払う様に飛び起きると痛みはふっと消えましたが、寝転がるとまたすぐにぶり返してくるんです。
汚い話ですが寝る前に一応用は足しましたし、お腹を下していたわけでもありません。
背筋はゾクゾクするのに掌だけべっとりと脂汗が浮き、完全に歯の根が合わなくなっている私を見かねて先輩が電気をつけました。
シスターが知っている限りのおまじないをしてくれましたが効果はなし。
塩をもらおうにも深夜でロビーには誰もおらず、少し歩いて私が落ち着いてきたところで結局怪談は打ち切りました。
その夜はシスターが貸してくれた柘植の櫛を浴衣の懐に入れて眠りましたが、うつ伏せの背中に視線を感じるみたいで気持ち悪かったのを覚えています。
翌朝食事に行って隣の部屋の女子に
「そっちは随分寝るのが早かったね、スイッチの音はやかましかったけどw」
と言うと、彼女は変な顔をして答えました。
「確かに昨日はすぐ寝たけど、スイッチなんかいじってないよ」
この旨をシスターに伝えると、彼女はしれっと
「え?あなた気づかなかったんですか?」
と言いました。
またH先輩も
「昨日は窓の外で葉っぱとは違う影がいくらかいたね」
と宣い、さらにはノンケのはずのMまでが
「実は昨日Tちゃんが苦しんでる時、天井に赤い目が貼り付いてたよ。見間違いかと思ったんだけど、携帯の明かりつけてもそこだけ影が動かなかったし」
と爆弾発言をしてくれました。
皆なぜその時教えてくれなかったのかと思いますが、私に無駄な負担をかけないための心遣いだったのかもしれません。
ありがたいと言えばありがたいのですが…
他にも昼間別の部屋で金縛りに遭ったり(しかも昨夜と同じ向き、同じ姿勢で…)夜中薄い壁のあちらとこちら両方でキツツキがつつく様な音を聞いたり他にも腐るほど奇妙な現象が起こりましたが、今となってはこうしてネタに出来るいい思い出です。
もちろん、同じ宿を使う以上今年の合宿は遠慮させていただきますが。

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