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とある下道

2018/07/10

今から三年前、和歌山の白浜に温泉に行った時の話をします
10~11月くらいの頃だったと思いますが、友人四人とワイワイやりながら行きました。
行く道程も楽しもうって事で高速を使わず、住んでいる所から下道を使って行く事に。
全員大学に地方から来た奴ばっかりだったので、それなりに楽しめました。
行きしなは特に道に迷う事も無く温泉に到着してその日は一泊する事になってたので、朝まで騒いで次の日の夕方まで寝ていました。
さてそろそろ帰ろうという頃になりました。
私はもう疲れていたし、夕方になっていたので家の辺りに帰る頃には深夜になりそうだったので
「もう高速使おうや」
と提案したのですが他の三人はまだ元気が余ってるらしく結局下道で帰る事になりました。
帰り道は行きしなとは違う道を使う事にしたらしく全く見慣れない土地を見ながら、私は助手席で地図を片手に格闘していました。
あくまで違う道で帰ろうと言い張ったのは他の三人でしたが・・
温泉街を抜けて二時間くらい経った頃でしょうか。
私たちの車は峠に差し掛かっていました。
8時頃だったので辺りはもう真っ暗。
正直疲れがきてたのでそれまでは眠たかったのですが、その峠がまたえらいくねり様で道幅はそこそこ広かったのですがすっかり目が覚めてしまいました。
そして峠も越えた辺りでした。
「おい、この道どっちよ?」
と運転していた友人が聞いてきました。
地図を見ると右の方向から村を抜けて行く様だったので、その事を告げ車は右の道を進んで行きました。
それまでは舗装された綺麗な道だったのですが、段々と周りの様相が変わってきていました。
「おーい、こっちであってんの?えらい寂しいとこやなぁ」
と後部座席に乗ってる友人から声がします
「合ってる合ってる。外套とかもうちょいあってもいいよな」
とか言いながら車は進んで行きました。
周りは暗かったのですがふと前方を見ると、じいさんが8時頃だというのに畑でクワを振っているのが見えてきました。
「大変やなーこんな時間まで」
とか思いつつそのまま通り過ぎました。
さて地図の通りに道を辿って15分くらいたった頃でしょうか。
なぜか見覚えのある道の様な気がしてきました。
「あれぇ?」
と運転してる友人も首を捻っています。
それは俺や他の友人も同じで
「おーい、地図係りしっかりせーよー」
と言われたりしました。
私は
「ああ、途中でどっか間違えたんだな」
と思い、そのまま道を走らす様指示しました。
すると前方からさきほどのじいさんが見えてきました。
「ああ、車止めて!ちょっとあのじいさんに道聞こうや」
「ああ、そうやな。」
と車を止めてもらい窓を開けて私はじいさんに尋ねようとしたんです。
窓を開けてじいさんを見たとき、ぼんやりとですがじいさんの後方10mくらいに
人・・・人・・・・人
20~30人くらいでしょうか。
彼らは灯りも持っておらず意識するまでは全く気付きませんでした。
そして全員がこちら側に向いていました。
明らかに…正常な光景ではありませんでした。
もう瞬間的に顔を前方に戻し、車は猛スピードで走り出しました。
友人たちも見えていたらしく、しかし本当に怖い思いをしたときは声もでませんね。
5分は誰も喋らなかったと思います。
そのままどう走ったのかは覚えていませんが、車はさっきの道に戻る事は無くちゃんと無事に家路につくことができました。
特にその後何かあったという事はありませんが、今でもあの時の光景を思い出すとブルブルしてきます。

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