路地裏の占い師
2018/07/06
路地裏に占い師がいたんだ。
最近ついてないから占って貰おうと思い、近づく。
良く見ると、自分でも何故占い師だと思ったのか分らないほど普通の人だった。
「占ってくれませんか?ぼくは何をしたらいいんでしょう?」
すると、やや間があって・・・
「例えば、一秒先のことを予測するのに、一秒かかっては意味がない。だから、私はあなたをすぐに変えてしまうことにする。ところで、川が流れるのは上下の勾配があるからなのだけれど、時間は何故ながれていると思う?」
こうのたまった。
まったく意味がわからず、いぶかしげに占い師の顔を見ていると、
「既知と未知がその勾配なのさ。未来を知った人間はどうなるのかねぇ」
あの後、どうやって家まで帰ってきたのか覚えていないのだけど、その後何をするにも成功ばかり。
幸せかって?
最近、気持が悪いのが治らなくって、病院にいくことにするんだ。
そしたら離人症なるものになっていたらしい。
全く意味がわからなくなるということだ。
もう、息子も妻も愛せないんだ、どこか冷めていたんだ。