ネット上に存在する不思議で怖い話を
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心霊スポットになっている廃病院

2022/06/05

俺が2年ほど前に体験したときの出来事を話してみる。

あれは俺が高校2年生の夏のこと。クラスの友人たち6人で集まり酒盛りをしていたのだが、誰が言い出したのか、「心霊スポットに行こう!」ということになった。

メンバーはA(珍走)、B(抜け珍走)、C(一般人)、D(一般人2)、E(アニヲタ)、俺(アニヲタゲーヲタ色々)という、何でこんなやつらが仲良いんだろうなぁってくらい不揃いな面子。

B以外は中型、原付免許所持者なので、BはEの中型の後ろに乗せてもらい、俺たちはその心霊スポットへ向かった。

俺はその場所を知らず、向かい際にAに聞くと「ああ、あっこは何か全国的にもえらい有名らしいけん、聞いたことあるかもしれんけど。山道登ったあとにの、トンネルがあるんじゃ。んでその先には、まぁよーある廃病院っつーやつがあっての」と一旦切り、「…出るぞ」と口元を嫌らしく歪ませた。

俺は一瞬何か嫌な予感がしたが、「はは、ほうか、出るんか。まぁ出んにゃ面白くも何ともないけんの」と無理やり笑ってみせた。

今思えば、何でこの時「やめよう」と言えなかったのか…もしかして、この時既に、俺たちはこれから出会うモノに憑かれていたのかもしれない、そう思えてならない。

その後俺たちは何事もなく出かけ際にAの言っていた山道に到着。すると、先行していたAとE、Bが止まり、「この山道は妙にカーブばっかのくせに、ガードレール無いけんの、慎重にこいや」と言い、また走り出した。

ついて行くと確かにカーブばかりで、それにガードレールも無く、その下は崖になっていて落ちたらとても無事には済みそうになかった。実際後日Aに聞くと、何人か曲がりきれず死んでいる、という話も聞いた。本当かどうかは分からないが。

ヘタレな俺はCと共にゆっくりと登り、トンネルに着いた頃には先に着いたやつらはバイクから降りて一服していた。

「まぁそれくらい慎重なら事故もせんのう」とAが笑いながら言い、「お前ら」と言葉を続けた。
「このトンネルの、出るらしいぞ。ホンマに。無理っちゅーやつは今言っとけよ」

すると、俺と一緒にゆっくり来ていたCが、「俺、帰っていい? なんかヤな感じする、ここ」と恐る恐る口にした。
それを聞いたBは「おいコラ。場がしらけるようなこと言うなや」と脅すように言い、Cは俯いて黙ってしまった。

「まぁ、ホンマに出るっちゅー話じゃけんの、ここまでじゃーと思ったら俺か○○(俺)にでも言え」とA。Cはやはり嫌そうに「……分かった」とおずおずと頷いた。

「何でもいいけん、早く行かん?」とEが発したのを皮切りに、みんなバイクにまたがり、いつでも行けるようにエンジンをふかし始めた。

改めてトンネルを見ると、夜なのも手伝ってか内部は暗く、出口も見えない。ありきたりな表現だが、トンネルの入り口があの世と繋がってるんじゃないかと思えてならなかった。

「言うの忘れとったけど、このトンネルん中入ったら、絶対後ろ向くなよ。アレに引っ張られて連れて行かれるって話じゃけんの」とA。もちろんアレというのは「幽霊」のことだろう。

Aを先頭に次々とトンネルの中に入っていく。トンネルの中はひんやりとしていて、真夏の夜が嘘のように寒く感じられた。半袖から突き出た素肌に、湿気以外の何かもぴたり、ぴたりと触れているようで、思わず後ろを向きそうになるが、必死にこらえて向かないように走り続けた。

トンネルは思いのほか短く、視界に病院が映ったときにはみんな病院を眺めていた。俺も思わず病院を見上げ、割れた窓ガラスから何本も何本も何本も何本も数え切れんほどの手が姿を現した! …とそんな想像をしてみて、ありえなくもないと思うと一瞬寒気がした。

病院は3階建てで、もちろん電気はついておらず、窓ガラスもほとんど割れ、とても凄惨な外観だった。それにトンネル同様、「出る」と言われる理由も分かるような、何ともいえないおぞましさもあった。正直、それだけで怖かった。

ふと気になって後続のCを見ると、俯いてかすかに震えていた。「大丈夫か?」と近くに寄ってポンと背中を叩くと、「うわあああぁぁあああぁあああああああ」と酷く驚き、叩いた俺も思わず「うおおおっ!」と驚いてしまったほどだった。

Cの叫びに他のやつらもこちらを見て「どうしたんじゃ!」とあせった様子で尋ねてきた。
「いや、なんか震えとったけん、大丈夫かっつって背中叩いたらめちゃ驚きよるけん、叩いたこっちも驚いたわ」と俺が説明すると、Aが「やっぱCはここに残っとくか帰ったほうがええの」と言った。

Cは、「さすがに一人で帰るのは嫌じゃい……」とこぼし、今思い出しても俺もまぁ当然かと思う。だが乗り気のBとEは「さすがにここまで来て帰るのはアホやん。行こうで」と帰る様子はまったく見えない。

Aと俺がどうしようかと悩んでいると、今まで黙っていたDが突然「俺は行かないよ」と言い出した。

Bが「お前びびっとんか」とケンカ口調で問うと、「なんかホンマにイヤな感じするし。Cを一人で置いとくよりは全然良いんじゃない?」とD。

俺とAもそれならいいんじゃないかとCに聞くと、「それなら、まぁいいけど……」と腕をさすりながら言った。

結局居残りはCとDとなり、俺たちは2,3Mはありそうな塀に囲まれた建物の中に入ることとなった。入り口には「立ち入り禁止」の札はあったものの、簡単に入れそうなもので、BとEを先頭に侵入した。

俺とAとBとEで病院の中に入った。懐中電灯は一本で、あとは携帯のライト。中は案外荒れてなかった。受付の奥にある診察室に入ってみると、珍走団のスプレーアートだのラクガキだのが少しあった。

色々見て回っていると、BとEが調子に乗って病室見てくると言い出したので付いていった。物色したりケータイカメラで写真とったりするBとE。俺とAは、あんまこういういわくつきの場所の物を持って帰らんほうがいいんじゃないかと言ったがヤツら聞かず。

いいもんがなかったので今度は3Fの病室覗くと言い出した。ここまで来て何も出ないというのは流石に虚しいので、物色云々はともかく俺とAもついていくことにした。

階段側の病室から覗いて、どんどん奥に進んでいくと、廊下で待っていたAがいきなり「うおお!」と言い出した。

同じく廊下で待っていた俺も見ると、今まで誰もいなかったはずなのに、なんか髪の短そうなオッサン?(暗くてよく見えなかった)がいきなり階段の近くの窓から飛び降りた。

Aと俺が駆け寄り、窓から下をケータイのカメラで照らしてみるがよく見えず、BとEの持つ懐中電灯を持って外を探す。でも何もいない。

こりゃただ事じゃないと、すぐさま門から外に出て、待っていたCとDに逃げるぞ!と声をかけ、バイクに乗って逃げようとするが、Eのバイクのエンジンがかからず、BとEの二人がかりでトンネル内を押して出る。

トンネルから出るとすぐにエンジンがかかるようになり、全速で山道を降りる。すると、Eのバイクが転倒。後ろに乗っていたEは運動神経がいいのか反応がいいのか、間一髪で飛び降りる。

全速でこけたため、バイクはかなり吹っ飛んだが、カーブの終わりの部分でかつ比較的広い道のところに出ていたのでがけ下に落ちるということもなく、Eも擦り傷だけ。

また幸いなことにバイクもどこもイカれておらず、無事エンジンがかかったのでまた乗って逃げた。とりあえず最初に酒盛りをしていたCの家まで帰って、その日は解散ということになった。

次の日学校で、お調子者のBとEはケータイで撮った写真(心霊写真はなかった)をクラスのヤツに見せたり、病院から物色してきた手帳(別に内容は変哲の無いもの)や指輪(なぜか病室のベッドの近くの引き出しの奥に入ってた)を
見せびらかしたりして、昨夜のことを話してた。

俺、A、C、Dはそんな気分になれず、とくにCは学校を休んでいた。俺とAは早退。Dは皆勤賞狙ってちゃんと最後まで受けたそうな。

そんなこんなで夏休みが始まり、ヲタで比較的ヒッキーな俺は家でのんびり過ごしたり、バイトをしたりしてた。

夏休みも1週間ほど過ぎたとき、Eに呼び出されてEの家に行くと、A、C、D、Eが既に集まっていて、「何の用だ」と聞くと「Bが死んだ」と。

事故死、しかも死んだ場所は廃病院に続く道。曲がりきれずにがけ下転落したらしい。珍走団は抜けたにしろ、他の珍走仲間と、また肝試しで廃病院に向かったらしい。

その帰りに転落死したという話。Aがその珍走仲間の一人から聞いたと。警察にも呼ばれたが、珍走仲間が転落する瞬間まで見ていたため、事故というのは確定し、廃病院に行って何をやったとか、あそこは立ち入り禁止だろうが!と怒鳴られたりするだけで終わった。

でもやはりあの廃病院が問題ではないかと俺たちは話し合い、もう誰にもその話をすることはなくなった。

夏休みが終わり、新学期が始まった。夏休みをヒッキーとバイトでつぶし、あまり出かけないようにしていた俺は、
久しぶりに病院にいったメンバーと会ったが、なぜかEだけいない。

まぁ元々Eにはサボり癖があったので、一応来ないのかというメールだけしてほうっておいた。始業式中にメールの返事が届いたので読んでみると、「行きたくない」とのこと。

「まだ気にしとるんか」と送ると、「なんか最近ヤな視線を感じる」と。死んだBと引きこもったE以外の俺たちは話し合い、Eの家に行くことにした。部屋の前に行ってもEはドアを開けず、今日は悪いけど帰ってくれと言われたので、しぶしぶ帰った。

そんなことが何度か続き、結局Eは新学期から一度も顔を見せることなく、単位の問題で留年、自主退学をした。俺たちはというと、何もないまま卒業し、大学に行く者、専門に行く者、就職するものとで別れた。俺は違う町の大学に行くことになり、一人暮らしを始めていた。

大学にも慣れ、この話がこうして怖い話として他の人に披露できるようになるほど、Bが死んだ件についても気にしなくなっていた。

ただ、やはり音信不通になってしまったEのことが気になり、お盆に里帰りした。A、C、Dに連絡を取り、また酒盛りをしたりした。

みんなが変わってないと言うか、誰ももう病院での出来事を気にしなくなっていた分、Eのことがだんだんと気になり始め、次の日、Eの家に行ってみることにした。

Eの部屋の前に立ち、声をかけると、Eの返事があった。俺はそのとき、「もしかしてEも…」と思っていたが、部屋から出てきたEの顔色は、ちょっとは悪いんだけど死相が出てそうなくらいの悪さではなかった。

Eの話によると、部屋から出てこなかったのは、「何か鏡のように反射する物(窓ガラスとか)に、変な男が映るから」とのことだった。

だから部屋のカーテンを閉め切ったり、PCのディスプレイに布をかけたり、誰とも目を合わせたりしなかったらしい。

俺が「その男って、髪の短いオッサン?」と聞くと、Eは驚いてよく分かったな、といった。つまり俺とAが病院で見た男が映っていたらしい。それから近況についてなど色々話した後、Eと別れた。

後日、俺がプレイしているネトゲで、怖い話をしようということで何人かとチャットでそういう話をしていたが、なんと俺の行ったあの病院に行ったという関東住まいの人がいた。

話に聞くと、場所、病院の3Fで自殺者の幽霊出る、帰りのトンネル付近でエンジンかからなくなる、二人乗り二輪車両はカーブでこける、トンネルを抜ける際は絶対に後ろを振り向いてはいけないなど色々な部分が合致していた。

そういう話に詳しいその人は、「あれは本当だよ。すんごいやばい。私が行ったときは車2台、8人で行ったんだけど、 帰り片方の車エンジンかからなくて、先にトンネルから出た車の窓には手跡がびっしりあった」と言っていた。

関東からわざわざ来るくらいだから、相当やばいんじゃないかと思った。誰も行かんほうがいいです。ありゃやばいっす。俺らみたいなDQNにならないように気をつけてください。


実際に起こった出来事を物語口調にして投稿してみるも、
入力してみると、かなり長くなりそうな悪寒。

今Aから電話あってEも死んだとか言われました。

今日バイト中にAから電話があり、もちろんバイト中でしたので取れず、バイト終了後に電話をかけなおすと、Eも死んだと聞かされました。

俺がこれを投稿したすぐ後なので、もしかするとそれと関係もあるんじゃないかと思ってしまえます…。

本当に寝ます。長文すいません。あと、場所分かったって人も絶対行かんほうがいいです。まさに自己責任です。俺みたいに。

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