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レンタルビデオ屋に来る少年

2021/02/24

3年ほど前の話。俺はあるレンタルビデオ屋で店じまいまでの2ヶ月間の期間限定のバイトをしていた。店には人が結構来ていたが、エロ目的のDQNや固定客ばかりだった。

そんなある日、俺とバイト仲間の2人で店番をしていたら、一人の中学生くらいの少年が入ってきた。

すでに22時過ぎであったため、DQN以外の子供が居る時間ではない、何より服装がおかしかった。そのころは春といってもまだ肌寒いくらいだったのに、あからさまに寝巻きズボンに肌着だった。

うわあ、なんか家出っぽいなあ、と思った俺たちは暇もあって、その少年に声をかけてみた。少年は暗い感じだったが、どうやら家出ではなさそうなことを言っていた。

ただ、すごいおびえているというか、かくまってほしそうな感じがした。俺たちはまあ、心配するほどでもないと思い、少年のことを気にしないでいた(本当は時間的にまずいんだけどね)。少年は30分ほど時間を潰して、帰っていった。

次の日も少年はきた。万引きという感じでもなさそうだし(服が薄かったので)、いいかなと思って普通に仕事をした。そして、次の日も・・・(普通は追い出すだろうが、もうすぐ店じまいだし、そんなきっちりやらないでいいかと思っていた)。

しかし1週間ほどして、少年が来なくなった。客が離れるのは当たり前だし、気にしていなかった。

俺がその店の近所で、ある母親が中学生の息子を殺害して逮捕されたのを知ったのは数日後のことだった。

殺されたのは案の定、あの中学生だった。どうやらかなり虐待されていたようで、あのときに助けられなかったのは残念だった(まあ、ただのバイトがどうこうできる問題でもなかったが)。

話はここからである。そのレンタルビデオ屋には盗難防止に防犯カメラがあり、2階で主任がモニターでチェックしていた(チェックしつつ、他のビデオ見てたが)。

ある日、休憩時間で2階で飯を食っていると主任がこう言った。
「あの中学生まだきてるんか、いい加減警察呼ぶか?」
俺は店番していたが中学生など来ていない。
「え、あの、って半袖の?」
「おう、まだおるやないか」
俺がモニターを見ると、確かに中学生が写っている・・・。
「え、でも、知りません?」
主任はきょとんとして言った。
「何が?」
「いや、中学生、こないだ殺されて、ニュースに出てましたよ」
主任はニュースを見ない人だったので全然知らなかったようだ。
「でも、おるやろ」
あせった声で主任がモニターを指差した。確かにあの少年と同じ服装だ。

俺は「多分、同じ服装の男が居るんでしょ、確かめてきます」そういって俺は1階に下りて、防犯カメラに写っている場所を確認した。しかし、そこには何もいなかった。

レジにいたバイト仲間に聞くと「そんなのおらんかったと思うけど、これ(ビデオのカタログ)見てたから知らん」と言った。

俺は不思議に思い、2階に上って主任に「入れ違いになったみたいです」と言った。主任は言った。
「お前降りていったら、お前の目の前通って店出て行ってたやないか・・・」

次の日から防犯カメラは故障中となり、モニターに彼が映ることはなかった。俺はそれからすぐにバイトをやめ、店も店じまいを1月早めて、すぐに廃墟と化した。

中学生の最後の心の拠り所はそのレンタルビデオ屋だったんだろうか。今でも、廃墟化したそのレンタルビデオ屋に、彼がいるのかもしれない。

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