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カエルのキーホルダー

2020/12/22

俺が中学生のときに体験した話。あれは確か中2の夏だったと思う。部活も入ってなかった俺は授業は終わったらすぐ帰るいわゆる帰宅部ってやつだったんだが、その日いつものようにすぐ帰ろうと下駄箱の蓋を開けると、なかにあれ?と思うものが入ってたんだ。

それは親指サイズのカエルを模したキーホルダーで、女子が筆箱あたりにつけてそうな可愛い感じのやつだった。当然それは俺のものではない。誰かがこれを身につけていたという覚えもなく、なんでこれが自分の靴箱のなかに入ってたのかいろんな事が謎だった。その時の俺は特になにも思わずそのカエルをテキトーにポケットにしまい、その日はそのまま帰った。問題がおこったのは次の日だった。

次の日の朝、俺がいつものように登校し、下駄箱を開けると、そこにはある一通の手紙が入ってあった。封筒はこれまた可愛らしくて桜の模様とかが描かれているピンクっぽい感じのものだった。俺はすぐにこれは俺にも春が来たか!と舞い上がった。俺はとりあえずその場ではすぐに手紙を開けず、それもまたポケットにしまい教室へと向かった。

その日はずっと手紙のことで頭が一杯だった。どんな子がくれたんだろうとか、もし付き合うとなったらデートはどこへいこうとかそんな事を考えていた気がする。そうして一時間目、二次間目と時間は過ぎていき、昼休みの前の掃除の時間となった。

俺は教室の掃除だった。はやくトイレとかにいってこっそり手紙を読みたいと思ってた俺は、張り切って掃除をしていた。だがそれがよくなかった。張り切りすぎて回りが見えてなかった俺は、一緒に掃除していたやつとぶつかってたおれてしまったんだ。とりあえずぶつかったやつに謝りながら手紙が落ちてないかポケットを確認する俺、だが急いで確認したせいで手紙がポケットから出てしまい床に落ちてしまった。

「なんだそれ~!」
めざとくそれを発見するクラスの連中。
「おい!やめろ!それは俺が最初に見るんだ!」
「おいおいなんだよ、告白の手紙か?みてやろうぜ!」
「おいだからやめろって………………どうした?」
「…お、おい……この手紙なんだ?」
「なんだってなんだよ、告白の手紙じゃ――」
「う……うぼええええぇぇぇぇ」
突然手紙を読んだやつの一人が吐き出した。
「お、おい大丈夫か!」
「ちょ、せ、先生!」
教室は騒然となり、先生が騒ぎを聞き付け駆けつける。
先生「おい、どうした!」
「○○くんが、急に吐いて……この手紙を見て…」
先生「何?……ってなんだこいつは!誰だこんなふざけた手紙を作ったのは!」
俺はその時はじめてその手紙を見た。
そこには真ん中にでっかく気持ち悪い感じに描かれた男の子の絵が描いてあった。ただそれだけなら大したことはない。問題はその右下……そこにはなんとゴキブリの死骸を潰して押し花みたいにぺちゃんこにしたのが紙に張り付いてあった。

当然手紙を持っていたのは俺なので、俺はすぐに先生に職員室に連れていかれ、詳しく事情を聴かれた。といっても俺がその時知っていたのは朝来たらあの手紙が下駄箱に入ってたことくらいなので、事件は闇入りとなった。

で、だ。それだけなら単なるちょっと気持ち悪いいたずら話ということになるだろう。だがそれだけでは終わらなかった。というのも俺のいく先々でこういう嫌がらせが続いたのだ。

それは学校内だけでなく、通学の最中とか家の中までも及んだ。例えば俺の部屋は二回にあって窓の外にベランダがあるんだが、そこに腐った猫の死骸を投げ入れられるとか、鞄のなかに生肉が詰め込まれているとか
当然俺はノイローゼになり、自然と外にでなくなっていった。

そんなある日のことだ。俺はその日体調がものすごく悪く熱もひどくなっており、学校を休んだ。前日まではそんな調子ではなかったのだが、急にそういう風になったんだ。その日母はパートで昼から夕方まで出掛けなくてはいけなかった。当然俺は家に一人残されることとなり、熱もでてあまり動けない俺は、部屋でじっと横になってた。

……母が外出して1時間ほどたったあとだろうか。ふと遠くから何か音が聞こえてきているのを感じた。最初は熱による耳なりかと思ったんだがそうじゃない。なんというか……うぉーうぉーと何かが叫ぶようなそんな音だった。それが段々とこちらに近づいてくる。そこの時点で俺は恐怖の限界だった。だって……その声は明らかに尋常じゃないスピードで、しかもまっすぐこちらに向かってきているのが分かったからだ。

うぉーうぉー!
うぉーうぉー!うぉーうぉー!
うぉー!うぉーうぉー!うぉー!うぉー!

どんどん声は大きくなり最後には耳を塞いでいないと気が狂ってしまいそうな嫌い大きくなった。しかし、そこでふと音が鳴りやんだ。辺りは急にシーンとなり、俺はその静寂が怖くなった。

瞬間
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!!!」
耳元で声が響いた。

そして俺は気絶した。親は帰ってきたとき俺の顔があまりに真っ白なのと寝巻きが汗でびっしょりなのを見て俺が一瞬死んだんじゃないかとおもったらしい(死にそうなくらい怖い目にはあったが)。俺は親に泣きながら起こされると、今度は俺のほうが泣き出して親に何が起こったのか説明した。

それを聞いた母親は、ついに霊媒師?ってのを呼ぶのを決心したらしく、すぐに知り合いのつてをたどって霊媒師を呼ぶ手続きをした。その二日後にその霊媒師が来た。彼は俺の部屋のなかに入るなり、俺のタンスのなかを開けてズボンを引っ張り出した。そして霊媒師がそのズボンから取り出したものは、あのとき下駄箱に入っていたカエルのキーホルダーだった。

彼いわく、そのキーホルダーには妙な呪いみたいなのがつけられているらしく、それによって俺が今までこんな怖い目にあってきたらしいとのこと。こちらでこれは処分するから君はもう安心して良いといわれたとき、俺はついホッとして泣き出してしまった。でも一つだけわからなかったことがあった。それは、誰が俺の靴箱にそのキーホルダーを入れたかってことだ。その話を霊媒師の人にしたとき、彼は真面目な顔をしてこう言ってきた。

「おそらく私がこの呪いを解除したとき、この呪いをかけたものが今度は呪われるだろう。……多分、近いうちに妙に不幸な出来事に見回れることが多くなるやつがいれば、そいつが…………」

そう言って彼は出ていき、それっきり俺に妙なことは起こらなくなった。その代わり俺の代わりのように不幸になっていくやつが現れた。

それは……俺のクラスの中心グループの連中全員だった。

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