山道の穴
2020/09/12
ある家族が登山を楽しんでいました。
その家族の中にひとりの少年がいたんですが、
彼は好奇心旺盛で家族とは離れて
勝手に山道を進んでいきました。
しかし彼はうっかり山道で迷ってしまい、
とうとう暗くなってきて、
本気で焦っていると悪いことは重なるもので、
穴に落ちてしまいました。
その穴はかなり深く
とても自力では登れそうにありません。
助けを呼ぼうにもこんな山奥に人がいるわけもなく、
彼は死を覚悟しました。
何時間たったでしょう?
穴の上で落ち葉を踏む音が聞こえてきました。
彼は必死に大声を張り上げ助けを求めました。
すると、穴の上から一人の男性が顔を覗かせました。
その男性は何もいわず
黙々とその少年を穴から救い出しました。
そしてふもとまで送ってもらいました。
少年は大人になるまで
その男性の姿形をなぜかハッキリと覚えていました。
しかしそんな記憶も歳をとるごとに
薄れていくのは言うまでもないことです。
彼が初老になった頃、再び同じ山をのぼることになりました。
しばらく山道を歩いていると
山道にポッカリと大きな穴があいてるのに気付きました。
なんだろう?と思いその穴を覗き込むと
ひとりの少年が助けを求めていたんです