親父の怖い話
2019/09/25
結構前の話なんだけど。
俺と妹がまだ小さかった時に、
親父が
「怖い話してやる」
って話しはじめた。
まだ親父が若い頃に一人暮らしをしてて、
朝ゴミ捨てにいったら上の階の男性と遭遇して、
一緒にゴミ捨てながら雑談したんだって。
そのあと部屋に戻って空気入れ替えようと窓をあけたら、
上の階の男性がおっこちてきた。
さっきまで普通の話してた人が
突然自殺するんだなってびっくりしたらしい。
「あとから近所の人とかに、
『突発的な自殺だったらしい』って聞いた」
と。
まあ、そんなに怖い話じゃないんだけど、
そのとき顔がこっちを向いてたら目が合ってただろうって思うと、
親父は怖くてたまらなかったって話だったんだけど、
ふと妹が、
「すぐ上から落ちたのに、なんで後ろ姿だったの?」
って聞いて、そこからなんとなく場が凍り付いた。
俺はその時、
全然なんでみんな黙るのかわからなかったけど、
親父が
「今気づいてもなあ…」
ってつぶやいて、
その先その怖い話とやらをしなくなった。
で、今になってやっとその意味がわかったんだけど、
普通自殺する時って前から落ちるよな。
すぐ上の階から落ちたなら当然顔は親父の窓へ向くはずで、
今更あれが自殺じゃないんじゃないかって気づいても…
てことだったんだろうなあ。