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物事がゆっくりになる空間

2019/09/12

小さい頃、家に『物事がゆっくりになる空間』とでも呼ぶべきものがあった。
バスケットボールくらいの大きさで、小学生の腰くらいにあった。
まったく透明で影も出ないただの空間なのに、触ると何か触感があって、その中では物がゆっくり進む。
上から何かを落としたら、そこを通過する間だけゆっくりになる。
下から何かを跳ね上げても同様、出たら勢いが戻る。
腕を振り下ろしたら、そこだけ重い水の中みたいに抵抗を感じる。
顔を突っ込んだら、音がくぐもって聞こえて息ができない。
よくねーちゃんと遊んでた。
どこの家にでもあるものだと思ってた。

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