一族の墓

2019/07/23

霊感ゼロのはずの嫁が、5歳頃に体験した話。
嫁の実家の墓はえらい沢山ある上に、あまり区画整理されておらず、
古い墓が寺の本堂側とか半分林の中とかにもある。
今は多少綺麗に並んでいるけれど、以前はもっと散在してたらしく、
もうちょっと一族の墓をまとめましょう、ということになったらしい。
坊さん立会いで墓石を動かして、少し掘って下に骨壷があればそれも一緒に移動して、
と作業していたらしいのだけど、5歳の嫁はすぐに飽きて適当に林で遊んでいたらしい。
そしたら林の中で、黒っぽい着物姿で髪もちゃんと結った若い女に会ったそうだ。
まるで日本人形みたいな化粧で、林には相当不釣合いで怖かったらしい。
「あれは何をしているの?」
と女が大人達の様子を聞いてきたので、嫁は
「ウチのお墓を動かしているの」
と答えた。
すると女は嫁の名前を聞いてきたらしい。
嫁が名乗ると女は怒って、
「お前、△△の子か!」
と腕を捕まれた。
すごく痛かったらしい。
「そんな人知らない」
と嫁が言っても、
「嘘つくな!お前はあの女にそっくりだ!」
と話を聞いてくれない。
「おまえなんか!」
と女が腕を張り上げて、
叩かれる!と反射的に嫁が体を竦めたところで、
嫁を探しにきた母親に名前を呼ばれて、
気が付くとそこには女はいなかったそうだ。
「女の人が怒ってた!」
と嫁が泣くので、一応その付近を改めると、
『×××衛門側室□□ 子□×』
と彫られた、一応嫁実家の小さな墓石が出てきた。
大人たちも、
「側室さんがいるって、ウチは一体なんだったんだ?」
と驚いたらしい。
嫁はこの時、何故か手首脱臼+藪でかぶれたのか
腕に酷い蚯蚓腫れが出来たそうだ。
蚯蚓腫れの跡は今でもうっすら残っている。
お彼岸だからとお墓参りした時、嫁が古くて小さい墓石を指差して、
「そうだ!これ!これねー」
と嬉しそうに語った話なんだけど、
墓石の文字は薄れて、『側室』ってところしか見れなかった。
「きっと側室の人だから、本家の子の私が憎たらしかったんだろうね」
と線香あげつつ言った後、
「そういやこの人のお墓移動の時、
土葬だったせいで頭蓋骨に木の根っこが入って取れなくて、
小さいからって私が手を突っ込んで取ったんだよね。
あの女の人の脳味噌引きずり出すみたいで、なんか嫌だったなぁ。
頭蓋骨の内側に根がこびりついていて、なかなか取れなくて。
片手は痛いし、片手は頭蓋骨だし、あれは散々だった!」
と、嫁はため息ついた。
俺にはどっちかっていうと、嫁の度胸のほうがほんのり怖かった。

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