父からの電話

2019/07/20

私の父が死んだときの話。
父は私が中学生ぐらいから、
女、ギャンブル、酒、暴力に狂って、隠し子までいた。
そんなこんなで親は離婚して、愛人と暮らしていたらしい。
それでも私は小学生のころの記憶もあり、
(父とキャッチボールしたり、楽しかった日々、仲のよかった両親)
父とは連絡を取り合ったりして、父のことは大好きだった。
しかし、俗にいうアル中状態。
愛人と隠し子との暮らしも長くは続かなかったらしく、
一人で暮らしていた。
そのころ私は大学を卒業後、地元から離れて暮らしていた。
もう精神的におかしかったのだろうか、
それとも寂しかったのだろうか、
朝昼夜問わず電話をかけてきた。
仕事中であろうとも、
電話に出るまで鳴り続ける電話にうんざりしながら、
「もういい加減にしてくれ!!」
と伝えたが、それでも鳴る電話。
他の知り合いにもかけているようで、
周りは迷惑しているようだった。
そして今年の2月、父は死んだ。
そのときの通夜で、親類全員の携帯電話、家の電話すべてが鳴った。
着信履歴は全員父からのようだ。
パニックになりながら電話に出たものの、相手は何も言わない。
全員パニックになりながら、
「もしもし」
「もしもし」
これを繰り返しているが、反応はなにもない。
父の母(ばあちゃん)が、
「○○あなたはもう死んだの。
私ももう年だし、もう何年もしないうちにそっちに逝くから、寂しがらなくていいのよ」
と言った瞬間、他の電話は切れたようだった。
私の電話は最後に、『幸せになれよ』と言って切れた。
大好きだった父の声に涙が出た。
ほんとは一緒に酒飲んだり、一緒にドライブ行ったりしたかった。
何でこんなことになったのか。
幸せな家族だったのに、どこで間違ったのか。
そんなことを思いながら、今も父の電話番号は、俺の携帯の中にある。

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