ご馳走
2019/07/20
怖いってわけでもないけど、祖母が亡くなった時の話。
ボケて寝たきりで要介護だったにも関わらず、
突然元気になって朝早く起きてきて、台所で料理をしてた。
朝起きて、私含め家族はビックリ。
「おばあちゃん、どうしたん」
と母が尋ねたら、
「○○(戦死した祖母の弟)から電報が届いて今日来るって言うから、ご馳走を作ってる」
と言ってた。
日ごろからボケてたのもあって、ボケちゃってるね…くらいにしか思ってなかったけど、
「足が思うように動かないから、コレとコレを買ってきて欲しい」
と私がお願いされて、言われるがままに買い物へ。
買ってきたら、ここ何年寝たきりだったのは何なの?というくらい機敏に料理し始めて、
家族全員びっくりを通り越して唖然状態。
足の筋肉もほとんど退化(って表現があってるかわからないけど)して、
立つのもやっとだろうに、せっせと料理して
「早く来ないかな、何年ぶりだろう。○○ちゃん(私)会うの初めてね」
と嬉しそうにしてた。
最後に煮物の味をみて
「できた。ちょっとトイレ行ってくる」
と言って、台所から出て廊下に行ったところで倒れて、
母が「おばあちゃん!?」と抱きかかえたら、そのまま亡くなった。
母が「救急車呼んで!」と叫んで、私が電話して救急隊員が来たけど、すでに息もなかった。
おばあちゃんが作ってくれた料理を食べたいけど、
悲しくて喉を通らないのとで、家族全員どうしていいかわからず、
でもせっかく作ってくれたから、と泣きながら食べて、
とりあえず一人分を器に盛って、おばあちゃんの部屋に置いた。
お通夜が終わって母がおばあちゃんの部屋に入ったら、器に入れてた食べ物全部なくなってた。
「誰かこの部屋入った?誰が食べたん?」
と母が親戚中に聞いたけど、みんな知らなかった。
「弟さん本当に来たのかもね。お迎えかな」
と誰かが言い始めて、それで納得してた。
あれから10数年。いまだになんで空になってたんだろうと、
家族全員が不思議に思ってる。
今から思うと、ちょっと怖いなーと思った。