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犯罪者識別能力

2019/07/14

高校のとき、友達に柔道部の奴がいて、
よく繁華街で喧嘩して警察にの世話になっていた。
そいつは185センチで100キロっていう、典型的な大男。名前はA。
性格は温厚で意外と気弱。
気は優しくて力持ち。
いや優しすぎる。
間違っても一般人に手を出す気性じゃない。
けど、そいつは何度も喧嘩して相手に怪我を負わせても、
停学や裁判になった事はない。
それは何故か?
答えは、喧嘩の相手が全員犯罪者(又は指名手配)だったから。
一度だけ、現場を見てしまった。
帰り道に繁華街(歌舞伎町のような治安が悪い場所)があって、
そこで急にAが足を止める。
Aの目線の先には、中年のオヤジがベンチで新聞を読んでいる。
俺が何かあったのかと問いかけるが、Aは無視する。
しかも、見たことも無いような鬼の形相。
これはおかしいと思って、Aの腕を掴んで問いかけるが振り払われた。
そして、Aは低くうめく様な声で言った。
「あのオヤジ・・・ムカつく!」
何を言ってるの理解できず、オロオロとしている間に、
Aはツカツカとオヤジに近づく。
オヤジがAに気付き顔を上げた瞬間、Aの蹴りがオヤジの顔に炸裂。
ベンチから転げ落ちるオヤジの髪を掴んで立たせ、
右手で張り手を食らわせ投げ飛ばす。
仰向けに倒れている親父に押さえ込みをかける。
20人くらいの野次馬をかき分けて、俺がAに飛びつく。
柔道の有段者に押さえ込まれると呼吸が出来ないらしく、
オヤジは軽い失神状態。
やっとの思いでAを引き剥がし、落ち着かせようとしていると警察到着。
警察に付き添われながらパトカーに乗せられ、俺も一緒に乗る。
俺とAは派出所の椅子に座らされ、色々と聞かれていた。
Aが暴行を働いた動機は、
「オヤジが無性にムカついた。気が付いたら殴っていた」
警官に嘘を吐くなと怒られていたが、
Aは下を向いてそればかり繰り返す。
1時間ほどたった頃、電話が鳴り警官が取る。
電話の内容を聞いて警官が驚いていた。
オヤジは覚醒剤の売人。オヤジ自身も覚醒剤を使用していて、過去に逮捕歴あり。
最近では、婦女暴行の容疑者として警察が追っていた。
オヤジのバッグの中に、覚醒剤・注射器・包丁が入っていた。
本来なら傷害罪で逮捕のはずが、無罪+感謝状。
もちろん、Aはオヤジが犯罪者とは全く知らなかった。

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