神様は見ている
2019/07/12
子供のときの話だから真偽はわからんが。
おれはガキの頃、
婆ちゃんの実家の田舎に住んでいた。
俺は婆ちゃんっ子で、
いっつも金魚の糞みたいにくっついてた。
婆ちゃんは神仏を大切にする人で、
毎朝家の神仏を拝んだあと
近所の神社に欠かさずお参りに行ってた。
俺も婆ちゃんと一緒に居たいもんだから、
よく付いて行ったな。
「神様は○○君をいっつも見とんしゃるけんね」
が口癖だった。
んでおれが7~8歳ぐらい?の話。
今では考えられないが当時は野良犬がチラホラといて、
よく保健所のおっさんを見かけていた。
「気をつけろ」
とは言われていたが、
実際の野良犬は人間をすごく怖がるから実害は0に近かった。
でもその日は違った。
学校の帰りの山道でアホみたいなでかい犬に威嚇されたんだ。
じっと睨まれてマジで足がすくんだ。
本当に死ぬと思った。
一分だか十分だがずっとにらみ合っていると、
突然山の斜面からこれまたクソでかい真っ白な犬が出てきた。
大人は全然信じてくれなかったが、マジででかかった。
四つん這いなのに軽く高さ二メートルは超えていたはず。
「ワン!」
ってでかい声で鳴くと、
野良犬は一目散に逃げていった。
んでその後また山へ入っていった。
その話を親兄弟に話しても、
「ビビってたから大きくみえたんやろ」
とか
「ただの犬の縄張り争い」
とか信じてくれなかった。
確かに今考えてみると、
恐怖からくる幻覚だったのかもしれない。
でも婆ちゃんだけは
「○○君がようお参りするけん、神様が助けてくれんしゃったとよ」
って言って、ますますお参りをするようになった。