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五月荘の出来事

2019/07/08

五月荘ってのは、
僕の行ってた中学の真横にあったおんぼろアパートで、
僕が入学した時には誰も住んでなかった。
ツタとか雑草が生えてて人の気配は全く無いくせに、
二階の通路にある窓はいつも開いてて、不気味だったんだ。
でも、とうとう立て壊しが決まったらしいって噂を聞いて、
「潰れる前に、中はどんなのか見に行こうよ」
と、連れとともに探検に出かけたんだ。
(山寺に行ったのとほぼ同じ面子。馬鹿ばっか)
中に入ったら、もうボロボロ。
床にも穴が開いてたり歪んで、歩くと足を取られる。
俺はぜひとも二階の窓を見に行きたくて、
階段を登ろうとしたんだけど、
「とりあえず一階から攻めていこうぜ」
と連れたちが言うので、後回しにした。
一階は三つ部屋があって、
どの部屋にも鍵はかかってなかった。
手前の部屋から入っていく俺たち。
最初の部屋は家具がほとんど残ってなくて、
部屋の真ん中に日本酒の瓶が置いてあって、
その周りに小銭が散らばってた。
床は新聞紙とか雑誌とか散乱してて汚い。
「乞食が生活してたんじゃないの?」
とか言いつつ次の部屋へ。
次の部屋は何にも無かった。
びっくりするぐらい綺麗に何にも。
でも床の真ん中が窪んでるんだよ。
「なんだこれ」
って連れの一人がその窪みに入っていったら、
ずどん!って床が抜けて、
連れは落とし穴にはまったみたいに上半身だけ出して、怒ってた。
で、最後の奥の部屋。
後付なのかも知れないけど、
その部屋には入るの嫌な感じがしたんだ。
連れがドアを開け放ったとき、
ここに来たことをすごく後悔した。
部屋には、なんというか、
今でも映像は記憶として残ってるんだけど、
真実味が全く無い。
でも、ほんとに、
部屋にはもう埋め尽くすぐらい
マネキンが立ってたんだ。
ほんと100体ぐらい。
びっしり。
ドアを最初に開けた奴が
「うわ!」
って叫んで逃げ出した。俺も逃げた。
残った連れがしばらくして出てきて、
「あのマネキン、全部女のだった」
って言ったとき、めちゃくちゃ怖かった。
それからずっとさ、気になるんだよ。
教室から見える、二階の廊下の開いてる窓。
暗くて何も見えないんだけど。
あそこから俺を見張ってたらどうしようとか、
もうそんなことばっかりよぎるんだ。
しばらくして、ほんとに建て壊されたけど、
もうほんと、二階に登ってなくてよかった。

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