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フィールドアスレチック

2019/06/19

これから話すのは、
全部わたし自身が目撃したものです。
最初は、あそこで働き始めて1ケ月目のことです。
ある小学校の5年生が一泊で来てて、
子どもらは東の広場のフィールドアスレチックで遊んでたんですよ。
木とタイヤとロープでできた遊具が10以上あるところで、
遊んでも面白いし、障害物競走にも利用できる。
しかも体力もつきますしね。
わたしは、事故がないように近くで見張ってました。
小さい子どもさんは、
ロープがからまってしまうことがときおりあるんです。
でね、見ていたら一人の男の子が、
『ヘビ』と呼ばれてる遊具に入ってったんです。
タイヤ15本くらいを並べて、
ロープで中空に吊ってあるんです。
そのぐらぐら揺れる中をくぐっていくやつです。
でも、アスレチック遊具の中では、
そんなに難易度は高くないんです。
見ていたら、その子は足場にのって
上半身をタイヤにくぐらせ、
その格好で止まってしまったんです。
揺れるのが怖くて動けないんだと思いました。
で、30秒以上その姿勢のままだったんで、
助けに行こうかとしたとき、
もう一方のはしからひょっと男子の子が顔を出したんです。
「え!」
と思いました。
だってね、中にいるのはその子だけなんですから。
タイヤの列は4mほどの長さがあるんですよ。
顔を出した男の子もね、
わたしと同じように「あれ?」という顔をして、
そのまま頭から下に落っこちていったんですが、
胴体がびょーんと長く伸びたように見えたんです。
で、男の子の頭が地面に着くあたりで、
入り口のほうに見えていたその子の足と腰が、
すっとタイヤの中に飲み込まれた・・・
わたしは話が下手なんで、状況を想像できますかね?
男の子が落ちるとき、
長く伸びていた胴体がしゅっと縮んだように見えたんです。
そうですね、蛇笛ってありますでしょう。
ピーと鳴らすと伸びるやつ。
あれが縮んでいくときのような感じでした。
地面に横たわっている男の子の体は普通に戻ってたんです。
その子は医務室に運んで
しばらくしたら目をさましました。
脳震盪が疑われるので、
両親を呼んで病院に連れていってもらいましたが、
その子は、アスレチックのタイヤに入ったとたん、
大蛇に飲み込まれたような気がしたって言ってました。
蛇みたく伸びてたのはその子のほうなんですけどねえ。

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