馬を見た
2019/06/15
小学校の帰り道に古い橋があって毎日通ってた。
ある時、その近くで馬を見た。
牛はともかく馬は珍しいなと思ってた。
次の日から馬は数が増えて距離も近くなって、
一緒に橋を渡って帰る感じになった。
ある日、馬がいないから
何となく橋の下の川をのぞき込んでみた。
すると身体が折れたような歪な馬が沢山いて、
こっちを見つめていた。
それまで正体もわからん馬を
何故怖く思わなかったのか、
急に寒気がして家に走った。
途中の畑でじいちゃんがいたから、
息を落ち着けながら馬の話をした。
ここで待つよう言われて、
家にいったじいちゃんは
竹と紙垂とお米の紙包みをもってきて、
一緒に橋のたもとの石碑にいって、お供えした。
帰り道、じいちゃんから石碑は
「馬頭様」だと教えられた。
昔、橋の両脇は急な坂で、
坂を登り切れず力尽きた馬が
馬車に引っ張られて川に落ちて死んだらしい。
あまりに被害が多かったから、
石碑をたてて供養したとのことだ。
動物の悪い念はすぐ人に伝わるから、
俺が最初に会った馬達は悪いものではないとも言われた。
玄関で頭から酒をかけられて、
背中に塩を振って家に入った。
それから馬は見てないが、
お供え物は毎年かかしていない。