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捨て猫

2019/06/12

あれはたしか引っ越してからだったから、小学4年の頃だったと思う。
飼育委員で鶏小屋(居たのは軍鶏だが)と
ウサギ小屋の掃除をして、夕暮れになっていた。
帰りに学校の裏手にある赤い屋根の遊具があった公園に、
同じ委員の女子と寄って帰った時の事。
夕暮れになってばかりだというのに、なんだかずいぶんと暗い日だった。
ブランコで少しばかり遊びながら女の子と話していると、
赤い屋根の遊具の中から猫の声が聞こえた。
近寄ってみると、ずいぶん生臭いというか、
獣の臭いといえばいいのか、そういう臭いがした。
覗いてみると、近所のスーパーから貰ってきたと思われる
野菜のダンボール箱の中に、猫が入っていた。
弱々しい泣き声ではあるが、口も動かさず表情も変えず猫が鳴いていた。
女の子が先生の所に持っていこうと言ったので、
私がダンボールを抱えて行くことになった。
学校についた頃には、すでにどっぷりと日は暮れていて、
夕暮れの赤色から、コバルトというのか、青黒い色の空に変わっていた。
街灯も点いていたから、帰れば怒られるような時間だったと思う。
既に下駄箱前の扉は閉まっていたので、非常階段から2Fに上がって、
ダンボール箱のふたを閉めて2Fのドアの前に置き、
そこから職員室に行って、担任の先生を呼んで事情を説明した。
先生は、まずは様子を見ようとついて来てくれたのだが、
なんとも言えない、生ごみを嗅がされたような顔をしたのをよく覚えている。
子供心に、厄介ごとを持って来たと嫌がっているのかと思ったが、
そういうわけでもないようだった。
真面目に話を聞いてくれて、
場合によっては飼育小屋で預かってもらえるよう頼んでくれると言っていた。
だが…先生をつれてドアを開けてみると、猫の声がしない。
つれてくるまでは、不定期に弱々しい泣き声をさせていたのだが。
まさか死んでしまったのではないかと思い、ふたを開けようとすると、
「見つけて欲しかったんだね」
先生がぼそりと、一言だけつぶやいた。
女の子と私が顔を見合わせて、ふたを開けてみると、子猫はぐったりとしている。
それだけではない。
よく見ると、腹の辺りから紐のようなものが出ているし、
何やら虫のようなものもわいている。
先生は、カラスか何かにやられたんだろうと言っていた。
私と女の子は泣いた。
でも泣きながら、箱を持っている時には温かかったのを思い出していた。
今思えば、あの状態で見つけた時、生きていたとは思えない。
それに、見つけた時にはそんな異常な状態には気づかなかった。
というより、記憶のかぎりでは普通の猫に見えたのだ。

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