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海水浴デート

2019/06/09

俺の親父とお袋の話を書かせてくれ。
実体験じゃなくて申し訳無いが・・・・
俺の親父とお袋がまだ結婚してなくて、付き合ってた頃の話。
ある夏の日、二人は海水浴デートに出かけた。
二人とも海を泳いで、沖のほうに泳いで行ったんだって。
その時沖の方に向かって海流があって、
それに乗ってしまってかなりの速さで沖まで進んだ。
かなり危険な状態だけど、
「おほw凄い速さで泳げるじゃん!ww」
と、二人ともはしゃぎながら泳いでいたそうだ。
危険な海流とは想像もせずに。
ふと気が付くと、かなり沖の方まで泳いできてしまっていた。
これはまずいと二人とも思い、引き返そうとしたが、
上記のとおり海流があるので、
泳いでも泳いでも浜まで辿り着けない。
体力も限界、助けを呼んでも浜まで遠すぎて声が届かない。
もう死ぬかもしれない、そう思った時だった。
誰か見知らぬおじさんに腕をひっぱられたそうだ。
かなりガタイの良いおじさんだったみたいで、
二人を引っ張りながらグイグイ浜まで泳いでくれている。
いくら二人とも若いって言っても、
成人した大人二人を引っ張りながら浜まで泳いでいくおじさん。
しかも海流を物ともせずに、だ。
親父は異常な光景と感じていたが、
疲労と、助かったという安堵でそれどころじゃなかった。
浜まで着くと、疲労と安堵でへたり込んでしまった親父。
すぐさま感謝の言葉を述べようとした。
親父「はぁ・・・はぁ・・・・ありがとうございまし・・・・あれ!?」
その人はいなくなっていた。
2,3回呼吸した間に、
そのおじさんはこつぜんと消えていた。
そのあとはデートなんて後回しで、
一日中そのおじさんを捜した。
浜の端っこから端っこまで何時間も捜し歩いたが、
結局見つからなかった。
親父は、
「あの時おじさんに助けられていなかったら、お前も生まれてなかったかもなぁ・・・」
と言う。
二人とも同時に体験してることだから、
親父の妄言ではないと思う。
俺もそのおじさんに感謝した。
助けてくれてありがとう、と。

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