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木工職人だった父

2019/06/03

父から実際に聞いた話です。

木工職人だった父が夜遅く作業場の片づけをしていると、背後で人の歩く足音がします。オガクズを踏みしめる、さく…さく…という音がはっきりと聞こえます。

こんな時間に人が来るなんて。不気味に思った父が振り返るが誰もいない。足音も止みました。そしてまた片づけを始めると足音が。振り返ると誰もいない。何度かそれを繰り返していると、だんだん面倒くさくなってきました。

いくら足音がしても振り向きません。そのうちに相手もしびれを切らしたのか、今度はかりかりと木を爪で引っ掻くような音がします。そこで父親が振り向くと、どう考えても背が届かない高さの窓に男の顔がのぞいていました。

父が「なんだお化けか」
と言うと、
「なんだとはなんだ」
と怒られてしまったそうです。

繰り返しますが実話です。

その後父は特に変わったこともなく、先日は釣りに行ってミツバチに刺されました。

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