河童?
2019/05/22
河童の目撃談です。
父が8歳くらいの頃の話。
ただ、父は今でも
それが本当に河童であったかどうか、
確信が持てないとか。
父の実家は四国のかなり田舎にあり、
その裏手の雑木林を抜けたところに淵がありました。
蒸し暑い夏の夕暮れ時、
幼い父が釣りにも飽きてふと川下の方を見ると、
頭に皿、背に甲羅、
両手にオニガラウリ
(四国では現在もメジャーな野菜。
きゅうりに似るが、より長くて太い)
を両手いっぱいに抱えた、
緑色(まわりの柳の葉と同じ色だったのを覚えているそうです)の生き物が、
距離にして10メートルほど先の対岸で、
じっと父のほうを見つめていたそうです。
河童だ!
父はそう直感したものの、さすがに怖くて体が動かない。
そのとき、
「俺、河童じゃないからな!」
とその緑色の生き物は流暢な標準語で叫び、
淵に飛びこんでいなくなったそうです。
河童に違いないと思った父も、
本人から真っ向に否定され、
確信の持てないまま今日に至るそうです。