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ユースケ君

2019/05/03

僕は自殺しに樹海に入る前に不思議なことが起こり、
樹海に入ることなく自宅に帰った。
鬱が酷く、薬と酒とロープと片道切符、
少しの金(5kくらい)、普段着で家を出た。
電車に揺られ、
『景色が綺麗だ、樹海はどうだろう』
とか思いながら。
有名な入り口のあるバス停に行く前に、なんとなく
『ばれねーか?』
と思ってしまいウロチョロ。
したら、地元民が
「あんた、ユースケ君じゃないか?」
と聞いてきた。
「違いますよ、観光客です」
と言った。
したら、
「ああ、ごめんなさいね、泊まるトコあるの」
と。
『なんなんだろうこのおばさん』
と思った。
「ハイ、ホテル取りますし」
なんか久々に人と(母親クラスのオバサン)と話して
楽になった僕は、ついオバサンの誘惑に負けた。
「泊まっていきなさい、今夜は鍋だよ」
・・・鍋なんて何年も食ってなかった。
結構古い佇まいの家に通され、ご家族が居た。
羨ましかったが、
『ヤベー僕は此処には要らない人間なのに』
と思った。
したら、オジサン(オバサンの旦那)が
「良くきたね」
と肩に手を置いた。
世間話しながらつい
「鬱病で働けない」
とか口を滑らせる僕・・・
「○○君、失礼だけど荷物見せてくれないかな」
「!!!!いや、下着だけですよ」
とか言って焦った。
したら、お婆さんが写真を持ってきた。
リュックにロープ、本、薬とお菓子が入った写真。
ユースケ君とは其処の息子だった。
まさかこんな近場で死ぬとは思わなかったと言う。
鍋は、
ご家族と僕とユースケ君の写真とで、
泣きながら食った。
あんな美味い食い物と優しい人が居ることに、
自殺願望は遠のいた。
風呂は薪で焚くタイプのやつ、
1番に行かせてくれた。
オジサンが一緒の部屋で寝てた。
(実際は一睡もしていなかったらしい)
翌日、
「御世話になりました」
とその家を出ようとしたら、
なんと自宅まで送るという。
「じゃあ警察に行きますから」
と言うが、
「させてちょうだい」
と。
僕は四国に住んでいたから信じられなかったが、
本当に送って下さった。
ちょっとした家族旅行みたいで楽しかった。
其処のご家族は、
ユースケ君の病状について親に説明してくれた。
僕の親は理解が無かったから。
遠いところから送ってきて下さり、
借りていた旅費を親が返そうとしたら、
「ユースケに怒られるからいいんですよ」
と受け取らない。
しかも、僕の親もユースケ君のご両親も号泣だ。
(僕も)
その後入院し、多少楽になった。
ユースケ君のご両親とは
未だに家族絡みのお付き合いだよ。
長文スマヌ
みんな、シヌナ。

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