本文の文字サイズ

優しい叔父さん

2019/05/03

二ヶ月ほど前に親戚が亡くなった。
本屋で立ち読みしてたら突然倒れてそれっきり。
脳の中の血管が切れたのが原因だとか。
俺が子供の頃から優しくしてくれた人で、
よく遊園地とか映画とかに連れて行ってもらったりしてた。
曽祖父の葬式の時に、父と親しくなったらしい。
生前、親類が集まる席で
「微妙に遠い親戚」
と冗談しかめて吹聴していたのだが、完全な『赤の他人』だった。
調べてみると、俺の家族の家系(父方・母方)どころか、
双方の親戚の親戚にすら該当しない人だった。
つまり、曽祖父の葬式に親戚を名乗って上がりこみ、
俺の家族と仲良くなったのだ。
別に両親や親類から金を借りたり、
何かを売りつけたりといった事はなかったようだが・・・
むしろ俺個人としては、好印象な記憶しか残っていない。
(特別に親しい関係を持っていたのは、うちの家族ぐらいだったみたい)
彼が一体どこの誰で何の目的で親戚に成りすましたのか、
まったく分かってない。
遺品にも手掛かりはなく、
とりあえず警察に相談したが、具体的な被害がないため、
事件として取り扱う事は難しいのだそうだ。
(とりあえず身元は調べるらしいが、これも難しいだろうと言われた)
一応、うちの家族で葬式を出した。
他の親戚は気味悪がって来なかった。
まったく血のつながっていない人と、
遊園地を巡っていたかのだと考えるとゾッとするものがあったが、
俺にとっては『優しい叔父さん』だったのは間違いない。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

人気作品

人気カテゴリ

RSS