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お姉ちゃんと鬼ごっこ

2019/06/25

神隠しっぽいものにあったことがある。
小学校1年の、夏休みのことだ。
実家はいわゆる過疎地にあって、
地域には同い年の子が数人しかいなかった。
その日は遊べる友達がいなかったので、
私は一人で外をフラフラしていた。
「大人の目のない場所には行くな」
とか、
「一人で山に入るな」
とか言われていたが、
どうせ平気だろうと高をくくり、
忠告を無視して林道に入った。
そうしたら、見たこともない可愛いお姉ちゃんに会った。
7歳の子の認識するお姉ちゃんだから、
たぶん小学校高学年か中学生くらいだと思う。
お姉ちゃんは私と遊んでくれることになり、
「年上の私が一緒だから大丈夫」
と言って、私を山に誘った。
ささやかな冒険心からか、私はホイホイついていってしまった。
山で私とお姉ちゃんは鬼ごっこを始めた。
お姉ちゃんが鬼だった。
最初は楽しく追いかけっこしていたのだが、
たまたま廃屋を見つけたので、
お姉ちゃんをまいて隠れることにした。
すると、お姉ちゃんの様子が変わった。
お姉ちゃんは優しげだが、
どことなくヒステリックな声で私を呼びはじめた。
まいた場所から廃屋まではそれなりに離れていたはずだが、
それでも聞こえるほどの大声だった。
やがてガラスが割られる音などがして、
お姉ちゃんが廃屋の中を探し始めたことが分かった。
ふすまを蹴るような音もした。
どう考えても尋常ではない怒りかただった。
ちなみに私は、簡単にカラの押し入れに隠れていただけなのだが、
どういうわけかお姉ちゃんは、私を見つけられないようだった。
お姉ちゃんは廃屋の中を歩き回りながら、
「出てきて、ここでおままごとしよう」
とか、
「それとも、このお家にお姉ちゃんとお泊まりする?」
などと言っていた。
そのうちお姉ちゃんは狂ったように、
「出てこい」とか「出せ」とか「助けて」とか、わめきはじめた。
私は怖くて、押し入れの中で小さくなっていた。
その後どうなったのか覚えていないが、
いつのまにか私は、男の人と明け方の竹林を歩いていて、
いろいろと説教を聞かされていた。
「大人が物事を禁止するのには理由がある」
とか、
「子供が一人で出歩くのはよくない」
とか。
その人は私を舗装された道路まで送ると、
「あとは自分で帰れ」
と言って、どこかに行ってしまった。
そこは地元から峠ひとつ越えたところにある、母の実家のすぐ側だった。
玄関の戸を叩くと祖母が現れ、その場で私を抱きしめて大泣きしだした。
とりあえず私は風呂に入れられ、その間に両親と父方の祖父母が呼ばれていた。
失踪中のことを話しても、両親にはあまり信じてもらえなかった。
ただ祖父母たちは、お姉ちゃんと遊ぶことになった経緯を聞いて顔色を変えた。
きっと何か知っていたのだろうが、詳しいことは未だに聞けないままだ。
後日、私が失踪した日に、近所の山で山火事が起こっていたことを知らされた。
焼けた範囲内に、全焼はしなかったが廃屋が一軒あったらしいことも。
消防のおじさんたちも私の失踪を知っていたので、
消火後真っ先に廃屋を調べたが、
中には誰もいなかったそうだ。
祖父母たちの強いすすめで、
父実家(林道の近く)から母実家に引っ越して今に至る。
あの朝、男の人と歩いていたのは、
どうやら母実家の近所の竹林だったようだ。
そこには小さな古いお社があり、火の神様が祭られているらしい。
・お姉ちゃんと会ったのは、8月某日の昼前。たぶん10~11時くらいだと思う。
押し入れにはかなりの長時間隠れていた。
少なくとも、引き戸の隙間から差し込む光が、
昼間の陽の色から夕日の色に変わるまでは。
祖母宅に着いたのは、翌々日未明。
つまり、丸2日近く私は行方不明で、
その間に近所の山中も捜索されたが発見されず。
警察には通報されていない。
・山火事は私が出かけてから、いくらも経たない間に発生したらしい。
かなりの規模で、私が帰ってきた日の夜に、
ようやく消火作業が終了したとのこと。
消防のおじさんはファイヤーマンではなく地元の自警団員なので、
少々危険だったが真っ先に廃屋を調べてくれた。
廃屋は割と燃えはじめた場所の近くにあったそうだ。
火元はよくわからなかったそうだが、登山者のタバコの火、ということになっている。

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