ネット上に存在する不思議で怖い話を
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赤い服の女

2019/04/30

三年近く前、泉の広場のところでヘンな女がうろついていた。
通勤の帰りによく見かけた。
三十前後で、赤い色のデザイン古そなドレスっぽい服着てて、
小柄で、顔色悪く目がうつろ。
髪は背中近くまであって、伸ばしっぱなしに見えた。
目立つ服の色と、なんか独特の雰囲気があって、目がいってしまう。
でも怖い(キ印っぽい)感じして、何気なく観察はしても、目はあわせんようにしてた。
女はいつも広場の中をうろうろしてた。
地下出口を出たとこの何本か外れた飲み屋筋に、
立ちんぼのねーちゃんの多い場所があって、
そこのねーちゃんかな?と思ってた。
ある日の仕事帰り、広場内の薬局の店頭でコスメの安売り見てた。
私は買い物するの時間かけるほうで、そん時も多分一時間近く店にいたと思う。
その夜も女は広場をうろついていて、いつものことなんで特に気にとめてなかった。
でも、店から出た時、視線感じて顔上げると、
広場の真ん中の噴水を隔てて女がこっち見てた。
なんかヘンな感じがした。
私は目が悪くて、眼鏡かけてても、
少し離れた場所だと相手の顔とかよく見えないのに、
女は妙にくっきり見えたんよ。
3Dみたく。
目があった途端、気持ち悪くなった。
何か本能的に怖くて、びしぃ!とチキン肌立って。
うわ、ヤバい。でも何が?
自分でも思考回路謎のまま、それでも反射的に店内に戻ろうとしたけど、
金縛りかかったみたいに身体が動かん。
助け求めようとして、声すら出ないことに気付いた。
いつもふらふら歩いてるはずの女が、すっと素早く近寄ってくる。
明らかに普通じゃない様子で、
髪振り乱してドレスの裾ゆらしてこっち来るのに、
誰も気付いてくれない。
もの凄い顔で笑ってて、その表情の怖さにふーっと気が遠くなった。
だって、目のあるとこ、全部黒目にかわってるんやで。
怖い、もうあかんって思ったときに、
いきなり誰かが後ろからぎゅっと腕を掴んできた。
驚いて顔上げる(ここで身体の自由が戻った)と、男の人で、
話しかけようとしたら、「静かにして」って小声で注意された。
呆然として顔見上げてると、
男の人はますます手をぎゅーっと握ってきて、
怖い顔で前を見てる。
吊られて視線戻したら、女がすぐそばに立ってて、
男の人を呪い殺しそうな目つきで睨んでた。
すごい陰惨な顔してて、怖くて横で震えてたけど、
女はもう、うちのことは眼中にない感じで、「…………殺す……」ってつぶやいて、
男の人の横をぶつかるみたいに通りすぎて、店内に入ってった。
男の人はその後、私をぐいぐい引いて、駅構内までくると、やっと手を離してくれた。
駅が賑やかで、さっきあったことが信じられんで呆然としてると、
「大丈夫か?」って声かけてきたんで、頷いたけど、本当はかなりパニクってたと思う。
相手の名前聞いたりとか、助けてもらった?のにお礼言うとか、まともにできなかった。
男の人は改札まで見送ってくれた。
別れ際に「もうあそこ通ったらあかん」とか言われて、
「でも仕事あるし」
「命惜しかったらやめとけ」
答えようがなくて黙ってると、
「今日は運よかったんや。あんたの守護さんが俺を呼んで、あんたを守ってくれたんやで」
「………………」
「たまたまやねん。わかるか?
あんたが助かったの、たまたま守護さんがわかるもんが、たまたまそばにおった、それだけやで。
あいつにとり殺されたくなかったら、もう通らんとき」
守護さんって何やのん。
守護霊のことか?
霊なんて見たことなかったから、自分の体験したのが何なのかわからなかった。
(正直、今もわからない)
女はどう見ても生身の人間に見えた。
それで返答に困ってると、その人は私に何度も「一人で通るなよ」と繰り返して、行ってしまった。
未だにアレが何だったのかわからない。
私は二ヶ月後、そこの仕事場辞めたけど、
その間、夜は泉の広場を一度も通らなかった。
男の人も、女も共に謎。
男の人の名前、聞いて置けばよかった。助
けてくれたんなら(今も半信半疑だけど)お礼言いたかった。
反面、かつがれたんかな?と思わなくもない。
(でも目的は何さ?)
すっきりしない。
始めはこの体験談、大阪の心霊スポットスレにカキコしようかと思ったけど、
霊体験かわからないんで(だってあんなリアル幽霊ってありか?どう見ても人間に見えた)、
こっちにしました。
かつがれたならそれはそれで不可解な話(藁
ということで。
少しだけ後日談があるけど、これもすっきりしない話なんで、はしょります。

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