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真っ暗な田舎道

2019/04/26

この前、東京から岩手の実家まで車で帰った。
深夜、高速降りて真っ暗な田舎の道を60Kくらいで走ってた。
他に走ってる車も無かったし、
ダラダラってよりはトコトコって感じの遅さで。
途中、結構長いトンネルに入った。
入って直ぐにグオーン!て音が響いた。
パッとバックミラーを見ると、
いつの間にか後ろにまっ黄色のライトの大きいトラックがいた。
ピタリと俺の後ろにくっついて煽ってる。
慌てて俺もスピードを上げて、引き離そうと思ったんだが、
どんなにスピード出してもピタリと離れない。
何だよこいつ!と思ったが、
トンネル出たとこに休憩スペースがあるのを思い出し、
トンネル出たらそこに入って一旦譲ろうと思った。
トンネルの出口が見えたところで早めにウインカーを出し、
追われるようにトンネルを出て、休憩スペースに入った。
どこのトラックだよと見てやろうと思ったが、
不思議な事に、あんなにピタリと後ろにくっついて走ってた
トラックの姿が見えない。
すごい音で走ってたから通ればわかるはずなのに、全くわからない。
トンネル出たとこは見通しのいい場所で、
遠くを走る車のライトも見えるくらいだったから、
トラックの黄色のライトを探したが、それらしいライトは無かった。
えー今の何だよーと混乱していると、
車の窓ガラスをコンコンと叩かれた。
めちゃくちゃビビって「うおぉ!」って声出したら、
窓の外から「すいません!」って聞こえた。
見ると、25,6の女の人が立ってた。
恐る恐る窓を開けると、申し訳なさそうに、
「驚かせてすいません。
実は車が動かなくなり、
旦那に迎えを頼んだんですが待っても待っても来なくて、
携帯の充電も切れてしまい連絡も取れません。
もし良ければ携帯を貸してくれませんか?」
的な事を言われた。
「いいですよ」
と携帯を貸すと、
「ありがとうございます」
と電話をかけ始めた。
けど、全然出ないらしく、
「ありがとうございます」
と半泣きで携帯を返してきた。
俺が
「送りますか?」
って言ったが、
「もう少し待ちます」
と言うので、俺の車に乗せて話してた。
さっきのトラックの話をしたら、
「怖いから止めて!」
と怒られた。
被災地なんで津波の話をしていると、俺の腹がグーっと鳴った。
女の人が笑いながら、
「私のクルマにカロリーメイトがあるので取って来ます」
と車を降りた。
車から女の人が俺の前に停めてある軽に乗り込むのをボーッと見てたら、
携帯が鳴った。
見ると知らない番号だったが、あ!旦那だと思い咄嗟に出た。
結構若い声で、『もしもし?電話もらったんだけど誰っすか?』。
「あ、もしもし。中野○○さんの旦那様ですか?実は・・・」
と説明をすると、相手は
『○○は確かに嫁ですが。今は家にいます。
何かの間違いないじゃないっすか?』。
俺はそうですかと思いつつ、家の場所を聞いてみると、
女の人が言ってた場所と合ってる。
旦那さんも気味悪がってるし、
電話口の奥で奥さんっぽい人が
『何?何かあったの?』
と言ってるのも聞こえるし、俺も混乱して、
「ちょっと直接話してもらえません?」
と、電話を繋げたまま車を出て軽に近付いた。
そこで気付いた。
その軽ボロボロの廃車だった。
ガラスは割れてるはボンネット凹んでるわ、
蔦が絡んでるわの本当にボロボロ。
もちろん女なんて乗ってない。
ボーッとしてると電話がブチッと切れた。
色々聞きたかったけど掛けなおすのも怖くて、
そのまま実家に帰った。
親や友達に話したけど、そんな車ないっていうし、
そんな話も聞いたことないとか。
帰りはトンネル使わず旧道通って帰ったし、
もう二度と使わないと思う。

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