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妨害電波

2019/04/23

山の上には、テレビ局やら公共機関やら通信事業者やらの、
無線中継所という施設があります。
それぞれの機関が使用する電波を、
文字通り中継する設備です。
私はその中継所が故障した時に、
昼夜を問わずに赴き、
修理する仕事をしてます。
ある夜、中継所を束ねる中央監視室で待機していたら、
警報を出す中継所があったので、先輩と急行しました。
中継所につくと、
中継装置は妨害電波を検出したと告げていました。
妨害電波自体はそれほど珍しいことではなく、
大気の影響で起こり得るのですが、
その発生間隔が実に奇妙でした。
規則正しく0.5秒間隔で妨害電波発生。
停波を繰り返したかと思えば、
数秒ほど完全に沈黙。
かと思えば、また0.5秒間隔で
発生と停波―をループしてました。
すぐに妨害電波の強さを測定した結果、
電界強度は限りなくゼロでした。
これは、妨害電波など存在しないか、
仮に妨害があったとしても、
もはや装置には電波と認識できないレベルである事を示唆します。
私はすぐに中継装置の妨害検出基盤の故障と判断し、
持参した予備装置に交換しました。
ところが、交換した装置を再起動すると、
また同じ警報を出力します。
私は困りはて、思い付く限りの基盤を、
片っ端から予備に交換していきました。
しかし、ぜんぜん効果はなく、
もう心の中では、
この妨害がおさまったら修理できた事にして帰ろう、
と諦めました。
とは言え、何もしない訳にはいかず、
無駄と知りながら、
あちこち調整したり交換したりを続けました。
小一時間、そんな不毛なあがきをしていたら、
突然パッタリと妨害電波の検出がおさまりました。
しばらく様子を見て、
何事もなかったかのように正常稼働する装置を見て、
私たちは帰路に着いたのですが、
この数年、帰り道に先輩が言った言葉を良く思い出します。
「あの妨害の出方、モールスみたいやったな」
オカ板で某県で拉致られそうになったとか、
北朝鮮の話を聞くと、
まさかね、とは思いつつ、あの日を思い出します。
日本海を眼下に見る中継所ではありましたが。
モールスったって、
「トンツー」のうち、
「トン」の短点しか当てはまらないですし。
でも、モールスを知らない人が何か伝えたい時に、
どうするか考えたら─
まさかね。

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