ネット上に存在する不思議で怖い話を
読みやすく編集・修正してまとめました

本文の文字サイズ

妻が妊娠していたときの話

2019/04/20

妻が妊娠していたときの話です。
妻は、妊娠中期頃から異常な眠気を感じていたらしく、
常にうとうとしていました。
定期健診などで医者に相談すると特に異常なしで、
「そう謂った症状を訴える方も少なくないので心配ないでしょう。
ただし、生活のリズムを崩さず、適度な運動もしてくださいね」
ということでした。
しかし、妊娠後期に差し掛かると、
妻は殆ど一日中寝て過ごしていました。
適度な運動をしないと子供が下に降りて来ず、
健康な出産&体を保てないということを聞いていたので、
休みの日には散歩や水泳に誘っていたのですが、
「今眠いから寝させて」
といわれるだけです。
出産予定日に近づくにつれ、
妻が恐ろしくなっていきました。
理由を箇条書きにさせていただきます。
1、常に寝ている。
(出勤前後ともに寝ている)
2、食事を取らない。
(「食べている」とは言うものの、
顔手足が見る見るやせてゆく)
3、寝ているときに生活音以上の物音を立てると怒り狂う。
以上のことから、
私は出勤日は、そっと家から出てそっと家に戻り、
寝顔を確認して、ちょっと酒を煽り寝て、
休日は、家が臭くならない程度の家事をし、
妻を外に連れ出そうと画策する繰り返しを、
数週間続けていました。
そんなある日、
いつものように帰宅し酒をちびちびやってたのですが、
とあるニュースの続報が気になりテレビをつけた途端、
「ちょっと、うるさいんだけど」
と、青白い顔をした妻が、
隣室から憤怒の形相で覗いていました。
その後、妻は勢いに乗ったのか、
結婚する以前のことまで遡り、私に怒鳴り散らします。
なだめようとするのですが逆効果で、
自らのコレクションであるガラスのオブジェを、
私にぶつけ粉々にしてゆきます。
どういった経緯でそうなったか覚えていませんが、
「もう生んでやるから」
と怒鳴った後、妻は寝室へ通じるドアを閉め、静寂が残りました。
私は呆然としたまま、
多分20分経ったぐらいでしょうか。
苦しそうなうめき声が聞こえます。
寝室に入ると、ますます呆然としました。
妻だと思っていた人が獣でした。
この時は本当に茫然自失だったのですが、
気付くと子機を手にしていたので119に電話し、
「今にも生まれそうなんです」
と言っていました。
きった途端、
「あたまが」
と妻が言うので、見ると出ていました。
妻が泣きそうな顔で私を見るので、
「もっと力んで、首が絞まっちゃうよ」
と言うと、
ごろっと胎盤とともに出てきました。
死んでいるようです。
私はその死体のようなものをつかみました。
暖かいので何とかならないかと、
肋骨の辺りを優しく間隔を置いて押しました。
すると、
「ひゃーー」
と泣き声を出し始めたので、腰が砕けました。
気付くと、家のチャイムが絶え間なく鳴らされ、
電話が変な呼び出し音を鳴らしているので、
玄関のドアを開けると救急隊員がいて、
「生まれました」と言うと、
子供と胎盤を銀色のシートでくるみ、
妻を救急車に乗せようとしました。
妻は「寒い寒い」と言うので、
手近にあったのが私のジーンズしかなく、
それで肩の辺りを巻きました。
その後、わが子は未熟児でしたが、
今のところすこやかにそだっています。
妻も毎朝私を6時(私の出社時刻は10時)に起こすような、
教科書で見る模範的な生活を送っています。
この話の何処が人に言えないかというと、
妻が「もう産んでやるから」といったあと、私はドア越しに、
「勝手に生めよぼけ。だらだらしやがってよー
一人で苦労してるような顔しやがって。
誰が金稼いでると思ってんだ。
おめーなんか畑の腐葉土だよ」
と言ったような気がするんです。
妻は出産後、以前よりも生き生きとしていて、
出産直前の喧嘩のことなんておくびにも出さないんです。
ドア越しに言った言葉が、
妻に届いていたかどうかもわからないし、
もし聞いていたなら、
何かしらリアクションがあったほうが気が楽なのです。
私は妻の笑顔が怖い。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

人気の投稿

人気のカテゴリ

RSS