最後のお化け
2019/04/13
大学のサークル合宿での話。
うちのサークルは毎年夏休みに1週間、山梨のとある民宿で合宿を行っていた。
その年、幹事になった俺は最終日に肝試しを企画した。
お気楽テニスサークルだけあって、男女比率がほぼ半々なので、
くじ引きで男女ペアをつくり、お化け役が待機してる山道を民宿に向かって歩くといった感じだった。
俺は最後のお化け役。
ジェイソンのお面をつけて包丁(もちろん偽者)片手に追いかける。
もう、おもしろいくらいにみんな叫んで逃げていく。
その晩は、飲み。
みんなが「怖かった~」と言ってくれたので、お化け役のうちらは大満足。
そして次の日。帰りのバスの中でふと、昨日の肝試しの話になった。
「ほんと、昨日の肝試し怖かったよね~」
「そうそう、特に最後のお化けなんか怖かったよね。」
「ああ、あれで○○ちゃん、腰抜かしたんだよ。」
そうか、そんなに俺のジェイソンは怖かったか、と満足していたの次の瞬間、
みんなが奇妙なことを言い出した。
「そうそう、ジェイソンみたいな奴のつぎのお化けだよな。」
「うん、あの女の人、怖かったよねえ~、あれ誰がやったの?」
詳しく話を聞くと、白い着物を着た女の人が赤ん坊を抱きかかえて、
動かずにただずっと睨んでいたそうだ。
林の中から。
さっきも言ったとおり、俺のジェイソンが最後のお化けだし、
小道具の中には赤ん坊の人形も、白い着物もなかった。