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消えてくれ

2019/04/03

俺が工房のときの話。
その日の夜はなかなか寝付けなかった。
翌日授業があるから早めに寝なきゃまずいと思ってはいたんだが、
どんなに頑張っても眠れやしない。
闇の中で途方にくれていると、
次第に夜の静けさが気になってきた。
何と言うか、
静かすぎて逆に何かが聞こえてくるような気がした。
その時、本当に音が聞こえてきた。
始めは微かな音(サー…とかザー…とか)だったから
単なる耳鳴りだと思っていたのだが、
次第に大勢の人が談笑しているような音になってきた。
声は遠ざかったり近くなったりした。
丁度、部屋の中をぐるぐると旋回しているようだった。
声は俺の真上で一層大きくなり、
俺を圧倒するように、たたみ掛けるように騒ぎ立てた。
あまりの騒々しさと恐怖から、
「消えてくれ、もう勘弁してくれ」
と念じて目をつぶっていた俺の頭を、
誰かの手が、
バンッ!!!!
と布団に押し付けた。
そのままの姿勢で身動き取れなくなった俺は
(目開けたら幽霊見てまうと思った)、
気がついたら朝を迎えていた。
部屋には誰もおらず、荒らされた形跡もなかった。
結局あれは何だったんだろうと。
単なる疲れすぎだろうか。

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