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オクレー

2019/03/27

まだ小学校に宿直制度があった時の話。
ある小学校に田中という
とても真面目な教師が赴任してきた。
彼は教頭から色々と学校について説明を受けたが、
どうしても納得がいかない点が一つあった。
それは、
『宿直の際に理科準備室は見回らなくて良い』
ということだ。
彼は本当に真面目な人物だったので、
そんなことは納得がいかなかった。
そうこうしている内に、
彼の宿直の番が回ってきた。
彼は木刀と懐中電灯を持って校舎を見回っていたが、
特に怪しいところはなかった。
そして─彼は例の教室の前に立った。
学校が建てられた当時から
まったく改装されていないその部屋は、
外側から覗くだけでも不気味な様相をかもしだしていた。
『いや、学校の為だ。ここに不貞の輩が潜んでいるかもしれん』
田中は思い切って理科準備室の扉を開けた。
古くなったホルマリンの匂いが鼻をつく。
中にはアルマジロや、タカの剥製、人体模型などが並べられており、
天井から白熱灯が吊るされていた。
辺りを見回したが、誰かが潜んでいるようすもない。
『よし、これで他の先生も安心して見回りが出来─』
その時、彼の耳元で声がした。
オ ク レ─
次の日、いつまでたっても出勤しない田中先生を心配して、
教頭が学校中を探し回った。
教頭は理科準備室の扉が少しあいているのを見つけて、中に入った。
そこには、変わり果てた田中先生の姿があった。
彼は内臓を全て失っていた。
教頭はため息をついて、辺りを見回した。
そこには折れた木刀と、
明らかに配置のおかしい剥製たちが
ガラスの眼を光らせていた。

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