夜中の同乗者
2019/03/22
学生の時、原付きで新聞配達のバイトをしていた。
いつものルートで新聞を配り、
あるマンションに配る番になった。
新聞をマンションなどで配る時は、
最上階まで行き、降りながら配っていく。
エレベーターが途中で止まっていたので
↑ボタンを押して待つ。
こういう僅かな待ち時間で
少しでも目をつむり睡魔を紛らわす癖がついていた。
すぐにエレベーターが降りて扉が開く音がした。
その音に合わせ、目を開け歩きだした。
‥異様な絵が飛び込んできた。
人が乗っていた。
深夜3時過ぎに止まっていたエレベーターの中に。
付け加えてエレベーターに乗る場合、
普通は顔・体の正面を扉に向けるはずなのに、
その人は、奥の壁に額を付けていた。
こちらから見ると背中しか見えない。
すごく気持ちが悪かった。
‥が乗らないことには配るのに時間がかかるので意を決して乗った。
エレベーターが最上階に着くまで、
その人を直視できない。
けど視界に入れておかないと恐怖は増す。
どうしたら‥と思っていたら、
いきなり低音が響いた。‥寝息だ。
こんなところで、器用に寝るなよ。
俺は人間が1番怖いと思う。