カウントダウン
2019/03/14
彼女と一緒のときに、見たことない番号からかかって来たのね。
なんか間違い電話かと思って無視してたんだけど、
彼女が
「私の前じゃ出られない番号なわけ」
とか言って、
なんか浮気を疑ってしつこいから、仕方なく出たわけ。
そしたら、いわゆる架空請求詐欺の電話…orz
『あなたがご利用になったサイトの料金が未払いで(ry』
って、モロDQNぽい声で言ってんの。
「俺彼女居ますんで、そういうとこ見ませんから」
とか言っても、バカはマニュアル通り
『登録ありますんで』
の一点張り。
こういうのって無視が一番なのにさ、
彼女まだ疑ってて「代わって」とか言って、
携帯奪って話し出したわけ。
DQNは空気読まずに、
『あなたの彼がご利用になった、熟れ熟れ人妻倶楽部(←ここでは仮名ね)の~』
とか言って、
彼女の顔青ざめてるの。
浮気の疑い晴れたけど違う意味でピンチ。
俺が横で、
「そういうよくある悪徳業者って分かるじゃん」
とか小声で彼女に言っても、
益々彼女の表情が引きつってくんの。もう最悪。
せめて詐欺からの電話だけでも終わらせようと、
電話取り返したら急に彼女絶叫。
電話口で大声出されたDQNは怒りMAXで、
『ふざけとんのかクルルァア!!』
とかめっちゃ巻き舌で凄むし、面倒くさい状況に。
「すみません、うちの彼女ちょっとアレな系で…」
とか訳わかんない言い訳とかして宥めつつ、切るタイミング計ってたら、
彼女が「早く切って!!今すぐ!!」と袖引っ張るの。
自分のせいで切れない状況にしといて、なんなんだよとか思ってたら、
飛びかかってきて、携帯強奪して切っちゃった。
俺が「一体なんなんだよ」と訊いたら、
「さっきの電話は聞き続けたらダメ」と。
そりゃ詐欺師の相手し続けるわけにはいけないが、そんなに怯えなくても。
ああいうのはただの脅しで、こっちの居場所はおろか、
名前さえも特定できてやしないんだから、
切っちゃっておkなんだと説明したら、
「そっちの意味でヤバいんじゃない」と。
まあ、前置き長くて言ってなかったが、彼女は『見える』子で、
主に自身にとって良くない影響があるものだけ感知するタイプらしい。
俺は全然感じない体質だから、最初は信じてなかったんだけど、
そういう虫の報せで、現に何回か事故とか危ない場面を回避できてるから、
最近はあながち嘘とも思えなくなってきたんだけれども。
まあ、今回も例の如く危ない何かを感じて切ったらしい。
で具体的には、彼女が架空請求業者の電話を取った時、
初めは女じゃなくてホッとしてたところ、
淡々とマニュアル通りの台詞を言ってるDQNの声に混じって、
もう一人誰かが囁いてる声がする。
後ろで上司のヤクザが指示を出してたんじゃないかと俺が笑い飛ばしたら、
彼女曰く、
「お婆さんの声だからそんな筈ない。
それに、変な童歌みたいな気味の悪い歌を歌ってた」
んだと。
それも、なんか断片的にしか聞こえなかったが、
『井戸の中』だの『子を吊し~』だの『眼を潰し~』だの、
異常な言葉ばかりがはっきり聞こえ、
直感的に「これは聞き続けたらヤバい」と恐怖感が凄まじく込み上げてきて、
思わず悲鳴を上げちゃったらしい。
DQNには聞こえていなかったようで、当然俺にもそんなの聞こえなかったから、
知らぬが花で関係ないじゃんとか言ったら、
「でも気付かないからって、無事で済む類のヤツじゃないと思う」と。
だんだん声が大きくなってきて、
最後(俺がまた代わってDQNの怒鳴り声を聞いてたあたり)は離れてても、
怒鳴ってる男の声よりも、はっきり聞こえるようになってきてたそうな。
しかも歌は『七日』で始まって、(一番?かな)
一つの調子が終わるたびに、『六日』、『五日』…と減っていって、
俺がだらだら切れずにいたから、『三日』まできてて、
最後まで聞いたらとてつもなく恐ろしい事が起きそうな予感がして、
強行手段にでたそうな。
「なにそれw怪談サイトの読み過ぎじゃね」
と平静を装いつつも、内心『なにそれ凄い迷惑』とか思った。
だって、あの業者に電話してあいつと話した奴は、
詐欺に引っかかった上に呪い?まで被るわけじゃん。
後日、彼女がそれ方面に詳しい知り合いに聞いたら、
「多分その男本人に憑いてるが、拡散させながら巻き添えを作る厄介なやつ」
らしい。
その後。彼女の愛犬が変死したのと、
俺が事故にあって片足折ったのは、多分それと関係ないとは思うが。