とある地下街の和食店
2019/03/12
割と歴史ある大型中華料理店
とある地下街の和食店。
ここも長く続く繁盛してる店。
撮影メニューが多く、
個室もない店舗で人の出入りがアイドルタイムでもそこそこあるから、
何処で撮影すんのかなと思ってたら、
厨房から降りられる地下室があるってことで、
そこでやることになった。
厨房に入口ってなんだそれと思いながら、
人1人強通れるくらいの階段を降りていくと、
蛍光灯一本の薄暗い空間。
こんなのあるんですねーと聞くと、
どういう経緯で出来たのか知らんが
地下街がオープンする前からあって、
元々別の所有者が別の用途で使っていたものを、
場所がちょうど上だからってんでつなげてもらったとか。
そんなことあるのか?と正直思った。
場所で言うとB4くらいになって、
インフラ設備との兼ね合いもあるだろうし。
壁もちゃんとしたコンクリートではなく、
でこぼこで地下室っていうより地下壕。
和食店なのでワインセラーがあるわけでもなく、
業務用の冷凍庫と使わなくなった古い机や椅子が置いてある以外、
何もない殺風景な『穴蔵』だった。
ロケーション的にあまりよくないけど他に場所もないし、
照明増やしてとりあえず撮影開始。
店長が料理を下に運んで来て
チェック、撮影、上に引くの流れ。
始めて30分くらい経った頃かな、
時々変な音がするのに気づく。
機械音にも聞こえるし、
人が「あー」とか「うー」とか言ってるようにも聞こえる。
冷凍庫?と思ったけど、発生源が違うし、
トーンが途中で変わるのでたぶん違う。
奥の何もないところから微かに聞こえてくる。
まあいいやとスルーしてパシャパシャ撮ってたら、
突然耳元で「あつい」って低い男の声。
正確には『ヴぁつぉい(ぼそっ)』みたいな感じ。
なんだなんだと周り見ても、
店長と自分以外いない(この時は助手くんいなかった)。
で再開すると、またあーうー聞こえてくる。
無視して撮影続けて1時間くらい経ったかな。
一発目の定食でシャッター押す前、
モニターで店長と構図確認してたら、
フレームの左上からいきなり赤い何かがさっと入って引っ込んだんだよね。
一瞬だったけど、見えたのは真っ赤に爛れてる手だった。
ひどい火傷した状態の手。
ただ被写体と比較すると実物はかなり小さいし(3歳児くらいの大きさ)、
店長も一緒にモニター見てるんだけど何も言わないから、
見間違いかなぁと思って続けて、また30分くらい経った頃、
いきなり店長が「もー」って呆れたように呟いて上を向いた。
で厨房から戻ってくると小皿1枚。
もしかして料理長が漬物間違えたかな?
撮り直し勘弁、と思ったら塩盛ってんの。
それ奥にちょこんと置いて
「すいません」
と一言。
そんなことされても苦笑いで
「いいですよー」
としか言いようがなく。
でも音はまだ聞こえてた。
あーうー。
まあいいやと思いながら撮影終了。
で、撮影終わって撤収する時に店長が塩回収したんだけど、
表面が緑黒いの。
ほんの2、3時間くらいで。
衛生的に大丈夫かここ?と思って、
ああだからこれだけスペースあるのに冷凍庫しかないのか、
と合点がいってほんのりした。
場所的には江戸時代は刑場だったとか、
昔近場で火事があったとかいう話を聞きました。
その店だけじゃなく地下街全体割といるという噂。
居心地よさそうだからいついちゃったのかもしれないですね。